守破離と、ふりかえりの8つの型
守破離の考え方を理解し、8つの型から「次の1ヶ月で試す型」をチームで選べる
守破離:型から始めて、型を離れる
守破離は武道や茶道で使われる考え方で、千利休の教えを詠んだ利休道歌の一首「規矩作法 守り尽くして 破るとも 離るるとても 本を忘るな」から生まれた言葉です。教えを守り尽くし、やがて破り、離れたとしても、本質を見失うな。裏を返せば、基本を会得しないまま破ったり離れたりするとうまくいかない、ということでもあります。
守。師から学んだ型を、そのまま繰り返し実践する段階。ふりかえりで言えば、書籍や本コースの型を改変せずにそのまま真似ることです。注意したいのは、Webで見つかる情報の多くが「発信者の現場のコンテキストに合わせて(本人も意図しないまま)カスタマイズされた情報」だということ。経験が浅いうちにそれを使うと、コンテキストが違うために全くしっくりこないふりかえりになりがちです。だからまず、体系化された型をそのまま。
破。複数の型を学び、自分なりに解釈して、既存の型を破りアレンジしていく段階。しっくりこなかった部分を1か所だけ変えてみる、問いを1つ足してみる。そうした小さな改変の積み重ねです。
離。型の本質が見えて、型にとらわれず自在にふりかえりを組み立てられる段階。手法の名前ではなく「今日は何を話したいか」から場を作れるようになります。
このコースの構成はそのまま守破離です。今週から8週かけて8つの型を「守」で身につけ、最終週で「破・離」への進み方を学びます。
ふりかえりの8つの型
ふりかえりの目的は、大きく8つに分類できます。その一つひとつが「型」です。それぞれの型がどんなチームに効くのか、そしてこのコースのどの週で実践するのかを一覧にしました。
| 型 | こんなときに | 実践する週 |
|---|---|---|
| ①短期間をふりかえる | すべての基本。まずはここから | 第3週 |
| ②よいところを伸ばす | ネガティブな意見に偏る。チームに自信がない | 第5週 |
| ③問題を解消する | 同じ問題が繰り返し出てくる。根本に切り込みたい | 第6週 |
| ④学びを最大化する | 失敗が責任追及になりがち。挑戦を増やしたい | 第7週 |
| ⑤関係の質を高める | 会話が業務連絡だけ。お互いをよく知らない | 第8週 |
| ⑥多角的に捉える | 議論が一面的。マンネリを感じ始めた | 第9週 |
| ⑦長期間をふりかえる | 目の前の話ばかりで成長実感がない。四半期や半期の節目 | 第10週 |
| ⑧未来を描く(むきなおり) | ゴール像がぼやけている。新しい期の始まり | 第11週 |
①短期間をふりかえるは、1〜2週間をふりかえる、すべての基本。この型を繰り返すだけでも、チームは自然とよい方向へ進みます。②よいところを伸ばすは、成功やうまくいった部分を自覚し、伸ばす型。人は成功を自覚して初めて、自分の活動限界とチャレンジできる範囲を知ります。③問題を解消するは、氷山のように立ちふさがる問題を掘り下げて解消する型。精神的にも根気のいる型なので、他の型とバランスよく使います。④学びを最大化するは、成功も失敗も無駄にせず、学びへ昇華する型。個人への責任追及ではなく、学びを次の成功につなげます。
⑤関係の質を高めるは、コミュニケーションの土台である「関係の質」を高める型。チームのたいていの問題は、コミュニケーションの質の低さから起こります。⑥多角的に捉えるは、複数の視点から1つの物事を見る複合型。⑦長期間をふりかえるは、数ヶ月単位で活動を見つめなおす型。短期のふりかえりだけだと近視眼的になります。⑧未来を描く(むきなおり)は、過去ではなく未来にフォーカスし、ありたい姿とそこへ向かうアクションを描く型です。
8つ全部を覚える必要はありません。このコースでは、これから1つずつ順番に体験していきます。いまは「ふりかえりには目的別の型がある」「自分たちの目的に合わせて選べる」という2つだけ持ち帰ってください。どれを最初にやるかは、このあとのステップで決めます。
8つの型は、道具として最初から手元にあります
うれしいお知らせがあります。この8つの型は、アジェンダ作成ツール「ふりかえりを作る」にプリセットとして最初から入っています。ページを開いて「目的」の欄を見てください。短期間をふりかえる、よいところを伸ばす……と、このコースで学ぶ8つの型がすべて入っています。選択肢が8つより多いことに気づくかもしれませんが、それはサイトの目的が型を土台に増え続けているからです。はじめてのふりかえりや、マンネリを打破したい、といった新しい目的が足されています。
選ぶと、その型を構成する手法一式(5〜9人・90分想定)が自動でセットされ、時間配分まで組み上がります。人数と時間を変えれば配分は組み直され、印刷もチームへのリンク共有もカレンダー登録もその場でできます。つまりこのコースの各週は、「その週の型がなぜその構成なのか」「当日どう進めるのか」を理解する時間であって、アジェンダを手作りする時間ではありません。組むのは道具に任せて、あなたは進め方の理解に集中してください。
各週の本文には、その型の構成がセットされた状態で開く直リンクも置いてあります。第3週以降は「リンクを開く → 人数と時間を合わせる → チームに共有する → 本文の詳細解説を読んで当日に臨む」が毎週のリズムになります。なお第3週の型①のあと、第4週では新しい型に進まず、同じ構成をもう一度回して「ふりかえりのふりかえり」を練習します。型は、1回やって次へ進むものではなく、繰り返して身体に入れるものだからです。
どの型から始めるか
迷ったら型①です。すべての基本が入っているので、まず型①を2〜3回繰り返してから、上の表の「こんなときに」を見て次の型を選んでください。
もうひとつの選び方は、チームの「いまの痛み」から逆引きすることです。ふりかえりが暗くなりがちなら②へ。同じProblemが3回出ているなら③へ。失敗の話になると空気が固まるなら④へ。会話が業務連絡だけなら⑤へ。期の節目が近いなら⑦や⑧へ。型は8つ全部を順番にやるためのコレクションではなく、症状に合わせて取り出す薬箱です。ただし、このコースでは「守」の練習として、第3週と、第5週から第11週で、8つすべてを一度ずつ体験します(第4週は型①の反復と「ふりかえりのふりかえり」の回です)。一度でも体験した型は、いざ必要になったとき、迷わず取り出せるようになるからです。
型の使い方:まず、書いてあるとおりに
型は「概要・目的・使う場面・アジェンダ・事前準備・ステップ」の構造で説明されます(このコースの各週も同じ構造です)。必ずこの通りに進めないといけない、という決まりはありません。ただし順番があります。まず一度、書いてあるとおりに実践する。しっくりこない部分があれば、次回に向けてそこだけ変えて、また実践する。この繰り返しで、自分たちの現場にフィットする進め方へ育てていきます。
「書いてあるとおり」がうまくいかなかったときこそ、収穫です。どこがしっくりこなかったのかが、あなたのチームの輪郭を教えてくれます。その違和感は毎回のふりかえりの最後、+/Δの5分に書き残してください。違和感の記録が、第12週で「自分たちの型」を作るときの設計図になります。
ここまでのまとめ
実践に入る前に、ここまでの4ステップで学んだことを、ひとつずつ思い出しておきましょう。
ステップ1:守破離:型から始めて、型を離れる
基本を会得しないまま破ったり離れたりすると、うまくいきません。まずは改変せずにそのまま真似る「守」から。このコースで扱う型は8つあります。
ステップ2:8つの型は、道具として最初から手元にあります
8つの型は「ふりかえりを作る」にプリセットとして入っています。自分で組み立てる必要はなく、選んで開けば、その週のアジェンダになります。
ステップ3:どの型から始めるか
型①から順に進めるのが基本ですが、チームの状況によっては別の型から入ってもかまいません。今のチームに合う入口を選びました。
ステップ4:型の使い方:まず、書いてあるとおりに
最初の1回は、時間配分も問いも書いてあるとおりにやります。アレンジは2回目以降。守り尽くしてから破る、をここで実践します。
よくある疑問
Q. 8つ全部やらないとだめですか?
だめではありません。実際の現場では、型①と、チームの症状に合う型2〜3個が回っていれば十分です。ただ、このコースの8週間だけは全部の体験をおすすめします。使わない型でも「あの型は、ああいうときのものだ」と知っているだけで、いざという時の選択肢になります。
Q. 毎週型を変えると、チームが混乱しませんか?
最初に「これから8週間、毎週違うやり方を試します。合う合わないをみんなで見つける実験です」と宣言しておけば混乱しません。むしろ毎週変わることが楽しみになるチームが多いです。宣言なしで毎週変えると「また新しいの?」になるので、実験の枠組みを先に共有するのがコツです。
Q. 型どおりにやったのに、うまくいきませんでした
1回でうまくいく型はありません。同じ型を2〜3回繰り返してから判断してください。それでもしっくりこなければ、それはチームと型の相性の情報です。+/Δの記録を持って、別の型に移りましょう。「守」は正解を当てる作業ではなく、比較の基準を身体に入れる作業です。
レッスン3からは、いよいよ実践です。まずは型①、すべての基本から。90分の時間割と、そのまま開けるアジェンダを用意して待っています。
今週の実践課題
- 自分たちのふりかえりが「守・破・離」のどこにいるかを話し合う(10分。まだ始めていなければ「守」の入口です)
- 8つの型の一覧を眺めて、来週から4週間で試す型を1つ選ぶ(迷ったら型①短期間をふりかえる)
- 選んだ理由を「今のチームに必要なものは何か」の観点で言葉にして共有する
ひとりで進める場合:自分のこれまでのふりかえり経験を守破離に当てはめてみましょう。「型どおりにやったことがあるか?」が最初の分岐点です。
読み終える前に、少しだけ書いてみましょう
自分の過去のふりかえりと照らし合わせて考えると、読んだ内容が身につきます。書いた内容はこの端末に保存され、あとからまとめて読み返せます。すべての問いに一言でも書けば次へ進めます。
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ここから下は、実践したあとに書きます
上の問いに答えたら、いったんここを離れて、実際にやってみてください。やってみたあとに、このページへ戻ってきて続きを書きましょう。
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