同じ問題を、また起こさないために
障害が起きたあと。プロジェクトが終わったあと。ひらかれた場が、いつのまにか誰が悪かったのかを確かめる時間になっていた。そんな経験はないでしょうか。
ポストモーテムとは
ポストモーテムは、起きてしまったことから学ぶための場です。障害やトラブルのあと、あるいはプロジェクトが終わったあとに、関わった人たちで何が起きたのかを確かめ、次に同じことを起こさないために何を変えるかを決めます。
もとは検死を指す言葉で、そこから「終わったあとに調べる」という意味で使われるようになりました。ソフトウェアの世界では、障害のあとのふりかえりを指すことが多くなっています。
大事なのは、責任を追及するのではなく、原因を追究するという点です。誰がやったかを確かめても、同じことはまた起きます。何が起きたのかを見て、仕組みのほうを変えます。
何のためにやるのか
ポストモーテムの目的は、ひとつではありません。どれを重くするかで、進め方も時間の配り方も変わります。今日は何を持ち帰りたいのか、はじめに決めておくと迷いません。
見ていた景色は人によって違います。まず事実を並べて、共通の一枚の絵にするところから始まります。ここが揃わないまま原因の話をすると、議論が噛み合いません。
表に出た出来事の下には、いくつもの要因が重なっています。ひとつの真因を探すのではなく、その重なりをほどいていきます。
「気をつける」で終わらせず、仕組み・プロセス・道具のどれを変えるかまで降ろします。そして、効いたかどうかをいつ確かめるかも決めます。
その場にいた人だけが賢くなっても、組織は同じ失敗を繰り返します。書いて、読める場所に置いて、はじめて学びになります。
4つ全部を一度にやろうとすると、どれも中途半端になります。今日いちばん知りたいことをひとつ選んで、そこを厚くしてください。
読む順番
はじめての方は上から順に。急いでいる方は、ひとりでやるかチームでやるへ直接どうぞ。
責任追及と原因追究の違い。「責めない」が免責ではない理由。そして「反省会」という進め方に、安全工学がつけている名前。
02 3つの源流と、いまの考え方ポストモーテムという言葉には、由来の違う3つの流れが混ざっています。Kerthのふりかえり、PMBOKの教訓、SREの非難なきポストモーテム。どれもいま、考え方が動いています。
03 ひとりでやる(30分)人を集められないときの進め方。ひとりだと自責で止まるのはなぜか。AIを他の人の視点の役にして、仕組みへ降ろすまで。
04 チームでやる(60〜90分)本来の形です。時間が取れるなら、こちらをおすすめします。場のつくり方から、事実を集め、要因を掘り、対策を決めて、学びを残すまで。
05 落とし穴と、そのときの一手人に着地してしまう。自責で止まる。対策が「気をつける」になる。よくある詰まりと、その場で使える言い換え。
ひとりか、チームか
ポストモーテムは、本来チームでやるものです。関わった人が集まって対話するもので、ひとりでやることは想定されていません。理由もはっきりしています。複数の視点がないと事実が集まらないこと。ひとりでは別々の要素が思いがけない形でかみ合ったところが見えないこと。そして、共有されない学びは学びにならないことです。
ひとりでやる
人を集められないとき。ひとりで受けた案件、すでに解散したチーム、聞きにくい相手。そういうときに諦めるのではなく、欠けている他の人の視点をAIに補ってもらいます。
30分でコンパクトに。それ以上の時間が取れるなら、その時間で人を集めたほうが得るものは大きくなります。
ひとりの進め方を見るチームでやる
本来の形です。60分以上の時間が取れるなら、迷わずこちらを選んでください。ひとりで長くかけるより、30分でも人が集まったほうが、見えるものが変わります。
見ていた景色が人によって違う。それが揃うだけで、ひとりでは辿りつけない要因が見つかります。
チームの進め方を見るAIと一緒にポストモーテムをする
ふりかえりコーチ(SkillとGem)に、ポストモーテムの進め方が入っています。「先週の障害のポストモーテムをしたい」「案件が終わったのでふりかえりたい」と話しかけると、問診から始まり、犯人さがしにならないように進めてくれます。ひとりだと伝えれば、他の人の視点の役を引き受けます。