Q&A — よくある悩みと対処

その悩み、あなただけじゃありません。

ふりかえりの相談で何度も出会う悩みと、その対処法をまとめました。チームのふりかえりには導入期→定着期→脱マンネリ期→成熟期という成長段階があります。いまの段階の悩みから読んでみてください。このQ&AはMCPであなたのAIからも検索できます。

導入期(始めたばかり)

事前準備11

いつ・どれくらいやるか決めたい

ふりかえりの理想的な頻度・間隔はありますか?

短くてもいいので週1回をおすすめします。月1回1時間より、週1回30分です。間隔が空くほど出来事を思い出せなくなり、話が抽象的になります。そしてアクションを試して結果を確かめるサイクルも月単位になってしまい、カイゼンの回転が遅くなります。週1回なら記憶が新しいうちに話せて、翌週には結果をふりかえれます。忙しい週は15分に短縮してでも、間隔を守るほうが効果的です。

出典: ふりかえりのお道具箱 お悩み相談(2022-04-19)

ふりかえりに時間はどれくらい必要でしょうか

1週間スプリントであれば60〜90分、2週間スプリントであれば90〜120分をお勧めします。慣れていないうちは多めに時間を確保しておいてください。スケジュールが固定化されたあとに時間を延長するのは至難の業です。初期段階で時間を長めに確保しましょう。

会議が多くて、ふりかえりの時間まで取れません

ふりかえりを足すのではなく、いまある会議を置き換えられないか考えてみてください。進捗会議で「課題」を扱っている時間があるなら、そこはほとんどふりかえりです。名前を変えて、進め方だけKPTなどに差し替えれば、会議は増えません。むしろ、ふりかえりが効いてくると会議そのものが短くなります。最初の数回だけ、少し我慢が必要です。

忙しくてふりかえりがよくスキップされます

「どんなに忙しくても絶対にふりかえりはする」という旨をチームに強く伝えましょう。忙しいときは、みんなで集まって「立ち止まる」時間を数分作り、軽く情報共有するところからのスタートでも大丈夫です。

誰に参加してもらうか決めたい

何人から始められますか?

2人からできます。ペアでのKPTは立派なふりかえりです。逆に10人を超えるなら、4〜6人のグループに分けることを検討してください。1人あたりの発言時間が薄まると、参加ではなく見学になってしまいます。

POやリーダーが忙しくてなかなか参加してくれません

POが毎週空いている時間をベースにスケジュールを組み立てましょう。業務・組織的な要因でスケジュールが空いていないのであれば、スクラムマスターやファシリテーターの出番です。POがいることでふりかえりがより効果的になる、ということを伝え、その時間はなんとしても空けてもらうよう説得しましょう。

ふりかえりに参加してくれない人がいます

時間帯が合わず別の仕事を優先しているだけかもしれません。まずは参加しやすい時間への変更を検討し、「参加しない理由」を聞いてみましょう。ふりかえりに否定的・よくわからない様子であれば、目的とチームに得られる効果を説明したうえで「ぜひ参加してほしい」と直接伝えるのが一番です。

何を話すか・どの手法にするか決めたい

「型」ってなんですか?どれから始めればいい?

ふりかえりは目的によって8つの型(短期間をふりかえる/よいところを伸ばす/問題を解消する/学びを最大化する/関係の質を高める/多角的に捉える/長期間をふりかえる/未来を描く)に分類できます。まずは基本の「短期間をふりかえる」型を繰り返して、進め方を身に着けましょう。

道具やツールを用意したい

準備が重たくて、ふりかえりをやりたくない理由になっています

準備ゼロでも開催できる形をひとつ持っておきましょう。ホワイトボードにK・P・Tと書くだけでも、ふりかえりは始められます。このサイトのアジェンダ作成ツールを使えば、目的と時間を入れるだけで数分で進行表ができます。また、準備を特定の誰かが背負っているなら、チームの当番制にしてしまうのも手です。完璧な準備より、続けることを優先してください。

出典: ふりかえりのお道具箱 お悩み相談(2022-04-19)

ふりかえりの道具は誰が準備するの?

可能ならチーム全員で。道具箱にまとめて持ち運べるようにすると楽になります。開始15分前から場所のセッティングも全員で行いましょう。みんなでおやつを買いに行くのも楽しいですよ。

オンサイトのふりかえりに必要な道具はなんですか

最低限は、付箋・ペン・貼る面の3つです。付箋は75×75mmの強粘着が扱いやすく、色は2〜3色あれば足ります。ペンは太めの水性が読みやすく、細いボールペンだと離れた人から見えません。人数ぶん同じペンを配ると、筆跡以外で誰が書いたか分からなくなり、意見を平等に扱えます。貼る面はホワイトボードでも模造紙でも壁でも構いませんが、全員が同時に立って囲める大きさが要ります。あると変わるものが3つ。時間を測るタイマー(全員から見える位置に置く)、話す人を示すトーキングオブジェクト、そしてお菓子や飲み物です。道具はまとめて箱に入れて持ち運べるようにしておくと、準備の負担がぐっと減ります。

ふりかえりの場を作る8

集まってもらいたい

ふりかえりを始めたいけれど、どう切り出せばいいでしょうか

いきなり「ふりかえりをやりましょう」ではなく、いまある会議への不満から入るのがおすすめです。定例会議の最後に5分もらって、「この会議、5点満点で何点?」と指の数で出してもらいます。5点の人はまずいません。理由を聞けば、改善のアイデアが自然に出てきます。それが出そろったところで「続きを話す時間を取りませんか」と誘えば、初回のふりかえりが始まります。会議のオーナーには、何のためにやるかを先に伝えておきましょう。

初回に上司やリーダーを呼ぶべきですか?

チームの活動に日常的に関わっている人なら呼びましょう。そうでない、様子を見に来る立場の人は、初回は遠慮してもらうのが無難です。見られている意識は、初回の発言のハードルを確実に上げます。成果を見せたくなったら、慣れてきた頃に最後の15分だけ見学してもらう形がおすすめです。

チームが乗り気ではありません

「振り返り=反省会」で傷ついた経験のある人は少なくありません。いきなり手法を持ち込まず、チームが知っている言葉から、なじませるように始めましょう。「やったこと・つぎやること」を報告しているチームなら「わかったことを足してみませんか?」でYWTになります。

チームメンバーがふりかえりに後ろ向きです

なぜ後ろ向きなのか、まずは1対1で話をしてみましょう。ふりかえりの時間に価値を感じていないのであれば、「あなたの参加によってチーム全体のパフォーマンスがあがる」「あなたの意見が必要」ということを伝えましょう。4〜5回は参加してもらうように説得し、そこでふりかえりの価値を感じてもらいましょう。

目的と期待をそろえたい

何が出たら成功ですか?

初回の成功条件は、良いアクションが出ることではありません。全員が満足に話せた、時間内に終わった、次回の予定が決まった。この3つが揃えば大成功です。アクションの質は、回を重ねれば必ず上がります。

どの手法から始めるとよいのでしょうか

初めてのふりかえりには、DPA→KPT→+/Δをおすすめします。DPAでふりかえりのルールやトーンを設定し、付箋を使って思い出しをしてから、Keep・Problem・Tryの順に話し合います。最後に+/Δでふりかえりのふりかえりをしましょう。

結成したばかりのチームに向くふりかえりはありますか?

最初は問題解決よりも、お互いを知ることを優先しましょう。できたばかりのチームには、まだ共有できる失敗も成功も少ないからです。DPAでふりかえりのルールを一緒に作る、お互いの得意なことや大事にしている価値観を話す、といった相互理解の時間がそのままチームの土台になります。関係の質が上がってから問題に向き合うほうが、結果的にカイゼンも速く進みます。

出典: ふりかえりのお道具箱 お悩み相談(2022-04-19)

ふりかえりがうまくいかなかったらどうしよう

だれしも最初はうまくいきません。初めてのことですから当然です。不安だ、ということをチームメンバーに伝えてもよいでしょう。「私も初めてやるけれど、きっとそのうち効果が見えてくるはずなので、一緒にトライしてほしい」と伝えてみましょう。チームの助けを借りられれば、ふりかえりのカイゼンも早いスピードで進みます。

出来事を思い出す1

Tryが1つも出ませんでした。失敗ですか?

失敗ではありません。出来事と良かったことと困ったことが共有されたなら、それだけでチームの認識は揃っています。話が盛り上がってアクションまで届かなかった回は、共通の話題について話し合ったという事実そのものが、チームに変化をもたらします。次回、同じやり方をもう一度やってみてください。2回目は必ず速くなります。

アイデアを出し合う1

毎週ふりかえりしたら話すことがなくなりませんか?

なくなりませんので大丈夫です。問題だけにフォーカスするのではなく、チームに起こったよいことを話し合ったり、お互いの関係性を高めるために互いの内面を話し合ったり、話せることはたくさんあります。少しでもよい未来に向かって、一歩ずつ前に進むための活動として、ふりかえりの時間を使いましょう。

アクションを決める1

「ふりかえりする暇があったら手を動かせ」と言われました。

正面突破は勧めません。メンバーが寄せ集めで、タスクが上から降ってくるだけで、チームとして評価される構造がない場では、ふりかえり自体が評価のマイナスに働くことがあります。搦め手を使いましょう。「ふりかえりをやる」と宣言せず、ランチや雑談、夕会のついでの5分共有から始める。定着して効果が見えた頃に「実はあれ、ふりかえりだったんです」と明かせばいい。名前を出すから戦いになります。

ふりかえりをカイゼンする1

一度完全に消えたふりかえりを、復活させたいです。

再開は、新規の導入より難しい仕事です。チームに「前にやったけど、なくなった」という記憶があるからです。同じ名前・同じ形で再開すると、その記憶ごと戻ってきます。名前と形を変えて、こっそり小さく始めてください。夕会の後の5分の状況共有から入り、効果が見え始めた頃に少しずつ伸ばす。前回の死因がマンネリだったのか、繁忙だったのか、価値が伝わらなかったのかを先に特定しておくと、同じ失敗を避けられます。

ふりかえりの外で2

ふりかえりの効果を上司にどう説明すればいい?

定量的な説明は正直難しいので、「こういう効果を狙って続ける」という意義の共有と、期待値のコントロールが有効です。「コミュニケーションのすれ違いを手前でリカバリできた」のような変化を伝えていきましょう。必殺技ではなく、小さなカイゼンの積み重ねだと最初に伝えるのがコツです。

上司がふりかえり未経験で、説明しても要領を得ません。

説明で伝えようとしているのが原因です。過去のアクション一覧を資料で見せても「これだけ?」で終わりがちです。それより、ふりかえりの最後の15分だけ見学に呼んでください。付箋で埋まったボードの情報量は、資料の百倍雄弁です。呼ぶ前に「メンバーが前向きになっている場なので、感想は後で私に。その場では褒めてください」とお願いしておくのを忘れずに。

定着期(慣れてきた頃)

事前準備2

メンバーの仕事がバラバラで、共通の話題がありません

皆さんそれぞれ難しい仕事をしているからこその悩みだと思います。難しいからこそ、他人の仕事を理解できないのでしょう。このような場面はよくあります。これまでうまくいった例ですと、テーマを改善の目標とはせずに「みんなの困りごとを聞く時間」にしました。困りごとを話すことで自分の中でその困りごとが整理できて、話しているだけで自分で解決策を見つけてしまうことが、その会では続出しました。また、その他の人の一見あてずっぽうなアドバイスが、意外と的を射ていたりすることもありました。何はともあれ、困りごとはひとりで抱え込まないのが一番と感じた瞬間でした。

出典: ふりかえりガイド(天野勝さん・ObjectClub)

今日のテーマが決まりません

決めずに始めてしまって大丈夫です。出てきたものの中から、次回のテーマを拾えばいいからです。1回めは何でもありでやって、そこで出たProblemのうち根が深そうなものを、次回のテーマにする。この繰り返しでテーマは勝手に育ちます。その場で「今日は何を話したいですか」とみんなに聞いてしまうのもおすすめです。それでも困ったら「このチームがもっと話しやすくなるには」を置いてみてください。どんなチームでも必ず話すことがあります。

出来事を思い出す2

時間がいつも足りなくなってしまいます

話し合うために適切な時間が確保できていないのであれば、まずはふりかえりの時間を伸ばしましょう。また、ファシリテーション方法によって解決できる場合もあります。最初から話し合うのではなく、個別で付箋に書き出して、全員で黙読したあとに気になる部分を共有する、といった工夫でも効率的に話し合いが可能です。

Keepが増えすぎてボードに乗りきりません

定着したと思うKeepから、別のところに保管してみるとよいでしょう。付箋を使ってふりかえりをしているところでは、ノートに履歴として貼り付けているチームもあります。いくつかのKeepをまとめて、ナレッジに昇華させてもよいでしょう。Keepは定期的に棚卸しをして、現状に合わなくなったものはやめるということも重要なアクションです。

出典: ふりかえりガイド(天野勝さん・ObjectClub)

アイデアを出し合う1

もっと積極的に発言してほしいのですが…

「積極的に発言する」ことと「積極的に参加する」ことを同一視しないよう注意してください。「発言」「意見を出す」ことが苦手だったり、時間がかかる人もいます。彼らが意見を出しやすいような場を作り、出てきた1つのアイデアを大切に、掘り下げていくような取り組みをしましょう。個人個人の相互理解が重要です。

アクションを決める6

Problemばっかり出てきます

毎回同じProblemが出てくるようなら、何度も出てくるものを1つずつでもいいので解消するよう、アクションを作ってみましょう。アクションを作り行動し、その結果どうだったか、をふりかえり1つずつ解消していきます。大きな問題でも、少しずつ打ち崩していくようにし、必ずアクションを含めカイゼンし続けましょう。

アクションが出せないことがあり不安です

単純にアクションを作る前にふりかえりが時間切れになってしまうのであれば、やり方を見直しましょう。なお、話が盛り上がりすぎてアクションが出なかった場合があっても大丈夫です。共通の話題・問題について話し合いをした、という行為がチームに新たな行動をもたらします。

ふりかえりの効果が見えません

ふりかえりで出したアクションがもたらすカイゼンだけで見てしまうと、「費用対効果がなかなか見えない」と感じてしまいますが、ふりかえりの真価は「チームの行動の変化」にあります。少しずつチームの関係性の向上や、行動の質の変化がみられていき、ふりかえり以外での場面・イベントでも変化がみられていくことでしょう。

アクションが特定の人にばかり集まってしまいます

その人がボトルネックなのではなく、Problemの書き方が「人」に向いていることが多いです。「Aさんのレビューが遅い」ではなく「レビュー待ちで止まる」と書けば、担当は自然とチーム全体になります。それでも偏るなら、こなせないぶんは正直に降ろしましょう。持ちきれないアクションを抱えたままにするほうが、チームには痛手です。

Problemが多すぎて、どこから手をつければいいか分かりません

Problemがたくさん挙がるということは、それだけ問題意識の高いメンバーが参加していて、改善の余地も多くあるので、とても喜ばしい状況です。しかし、それだけ多くのProblemをすべて改善するのには時間がかかりますし、やみくもに選んでも改善の効果が小さすぎるかもしれません。このような場合は、取り組むべきProblemを何かの基準に従って優先順位づけをするとよいでしょう。たとえば「問題の根はどの程度深そうか」「その問題がなくなればどの程度幸せか」など、チームで納得のいく基準を用いて、そこからいくつか選ぶようにしましょう。本来ならばすべての問題について取り組むのが理想ですが、問題は関連していることが多く、一つの問題が改善するとそれにつられて他の問題も改善されることがあります。

出典: ふりかえりガイド(天野勝さん・ObjectClub)

ふりかえりの結果は、どこにどう残せばいいでしょうか

次のふりかえりで使うものだけ残せば十分です。具体的には、実行中のアクションと、まだ解けていないProblem。この2つが次回の入口になります。きれいな議事録は、作るのに時間がかかるわりに読み返されません。ホワイトボードの写真やキャプチャ1枚とアクション3行、くらいで大丈夫です。残す先は、チームが毎日見る場所に。見ない場所に整理して置くくらいなら、雑でも目に入る場所に貼ってください。

ふりかえりをカイゼンする2

手法はアレンジしてもいいのでしょうか

もちろんOKです。ただし順番が大事。まずは書いてあるとおりに実践し(守)、しっくり来ない部分が見えてから、次回に向けてその部分を少しずつ改変してください(破)。基本を会得しないまま改変すると、うまくいかないことが多いです。

KPTがしっくりこなくて…

YWT、Fun/Done/Learn、Good/Bad/Nextといった、KPTと構成が似ている手法に切り替えてみましょう。問いが変わるだけで、意見が出やすくなる場合があります。また、KPTがしっくりきていない理由を全員で話し合い、KPTのやりかた自体をカイゼンすることも大事です。

アクションを実行する1

アクションを出しているのに忘れられます

アクションが具体的でなかったり、優先順位が低く見積もられているのかもしれません。実行しやすいアクションにしてみましょう。また、ふりかえり後にその場ですぐにアクションを実施してみたり、誰もが毎日目にする場所にアクションを貼っておく、というのも効果的です。

脱マンネリ期(型が固まってきた頃)

事前準備1

新しい手法ってどうやって探せばいいの?

このサイトの手法カタログには154種の手法をイメージ図つきで揃えています。フェーズと目的の2軸で絞り込めるので、「今のチームに足りない視点」から探してみてください。書籍なら『ふりかえりガイドブック』や『アジャイルレトロスペクティブズ』もおすすめです。

ふりかえりの場を作る3

「KPTだと何も出ないでしょ」と言われてしまいます。

出ないのは手法のせいではなく、いつも同じテーマを掘っていて鉱脈が枯れたせいです。手法を責めても解決しません。テーマの軸を変えてみてください。ずっと進め方の話をしていたなら、成果物の品質の話、人間関係の話へ。それでも出ないなら、上限を外す問いがあります。「私たちは、世界最高のチームですか」。違うと思うなら、伸びしろが残っている証拠です。問題は枯れても、伸びしろは枯れません。

メンバーに「また新しいやり方ですか。覚えるの面倒なんですけど」と言われました。

変える幅が大きすぎるのが原因です。説明が1分で終わる範囲に収めてください。「覚えることは1個だけです。今日は良かったことの前に、ささやかな良いことをひとつ書きます。以上」。この大きさなら、面倒がる人はまずいません。過去に手法を丸ごと入れ替えて失敗した記憶が残っているなら、なおさら小さく。ひとつ足すところから信頼を積み直しましょう。

スキップを言い出すのが、上司ではなくメンバーです。

この場合は、開催を守る前に中身を疑ってください。チーム自身が価値を感じていない可能性が高いからです。マンネリの兆候を数え、短い点検で本音を聞く。「正直、いまのふりかえりに1時間の価値を感じていない」が出てきたら、それは攻撃ではなく最高の点検結果です。そこから作り直すほうが、義務感で延命するよりずっと早く強い会になります。

出来事を思い出す2

手法はどのくらいの周期で入れ替えるのがいいですか。

カレンダーではなく、兆候で判断してください。付箋が減る、同じ議題が3回目、終了が早まる、「特にないです」が増える。このうち2つが点灯したら替えどきです。逆に、効いているうちは変えないこと。毎週コロコロ変えると、手法を集めること自体が目的になり、同じ物差しで変化を見る定点観測が消えます。

チームから「またKPT?」と言われました。

前向きに受け取ってください。手法の名前を覚えて繰り返しに気づけるほど、チームが関心を持っている証拠です。返しはこうです。「そうです、同じです。ただ今日は、前回の改善点を2つ反映してあります。どこが変わったか探してみてください」。同じ手法でも進め方は毎回進化している。それが伝わると、「またか」は「今回はどう変わる?」に変わります。

アクションを決める1

私たちは成長できているんでしょうか…?

停滞感を感じているのであれば、長期的な観点でのふりかえりをしてみましょう。3ヵ月、6か月、1年などのロングスパンでふりかえり、自分たちの変化を確認します。これまで出してきたアクションをすべてリストアップし、できるようになっているかを確認したり、できていないものを見直したりするのもよいでしょう。

ふりかえりをカイゼンする10

私たち、ふりかえりうまくできていますかね?

「うまく」の定義はチーム次第ですが、必ずしもうまくやれていなくてもよいと思います。何ならふりかえりの中でふりかえり以外のことをやっていても問題ないと思います。チームみんなで立ち止まって、楽しくその場を有効活用できているのであれば、きっとあなたのチームではうまくいっているはずです。思い込みを取り払いましょう。

新しい手法でふりかえりが失敗したらどうしよう

新しいやり方に失敗はつきものです。むしろ、新しいやり方によって生まれた「変化」を歓迎しましょう。チームメンバーにも「うまくいかないかもしれないけれど、新しいやり方を試してみたい」と伝えたうえで行えば、失敗しても糾弾されるようなことはありません。ふりかえりでこそ様々なチャレンジを行っていきましょう。

他の人にもファシリテーションしてほしい

ふりかえりを特定の誰かがいつもリードしているのであれば、チームメンバーにゆだねてみるのもよいですね。強制的に行うのではなく、「チームみんなで作りあげたい」という気持ちを素直にチームに伝えて、少しずつ協力してもらいましょう。チームみんながファシリテーターの意識を持つと、一段階ふりかえりがステップアップします。

新しい手法をどうやって試せばいいの?

ふりかえりの7つのステップごとに向いている手法はそれぞれ違います。まずは普段行っている進め方のうち、一部を変えてみましょう。変えた結果がどうだったのか、を必ずふりかえるのも忘れずに。アジェンダ作成ツールを使うと、ステップごとの手法の差し替えが簡単にできます。

毎回似たような話になってマンネリしてます

手法を変えてみるか、テーマを変えてみましょう。テーマを変えるというのは、例えば「チームの問題について話し合おう」というテーマでKPTをするのか、「最高の未来を作るためにどうすればいいか」というテーマでKPTをするか、という違いです。手法が同じでもテーマが違うだけで、出てくる意見が全く変わります。

ふりかえり自体がうまくいっているか分かりません

「ふりかえりのふりかえり」をしましょう。+/Δ(プラスデルタ)で5分、今日のふりかえりの良かった点と変えたい点を出すだけ。実は、これをやっているチームは1割もいません。やるだけでチームのふりかえりは着実に上達します。

チームがふりかえりをやめたがっています

話し合った結果やめるのも、ひとつの決断です。ただし条件をひとつ。「やめてどうだったかを見る場」を、3ヶ月後か半年後に、その場でセットしてください。困りごとが増えていたら再開すればいいし、雑談の中で問題解決が自然に回っていたと気づけたら、それはチームの良いところの発見です。忙殺されて検証ごと忘れるのがいちばんもったいない。判断の材料を、未来の自分たちに残しましょう。

+/Δ自体が形式的になってきました。

点検のしかたにもマンネリは来ます。手法を半歩ずらしてください。退出時にドアの近くの紙へ気持ちを投票してもらう形に替えると、声に出しにくい人の温度も拾えます。もっと踏み込むなら、役立った・邪魔した・仮定したで整理する手法もあります。点検系でありながら、改善のアクションまで落とせます。

1・2回目をKPTでやりました。3回目も同じ手法・型でいいですか?それとも次の型へ?

どちらでも正解です。チームが乗ってきているなら、3回目・4回目と続けて構いません。目安をひとつだけ。終わりの点検で変えたいことが出なくなってきたら、いまのやり方を乗りこなせたサインです。新しい視点を入れる好機になります。

これまで「ふりかえりのふりかえり」をやっていませんでした。ふりかえりを改善する材料がありません。

今日この場で作れます。ホワイトボードに使ったことのある手法を並べて、意見の量・実行率・場の空気の3つの物差しで、いまの記憶のまま仕分けしてください。記憶は薄れていても、「あれは盛り上がった」「あれは静かだった」という体感は案外残っています。精度は低くて構いません。今日を境に、終わりの5分と写真を必ず残す習慣を始めましょう。

成熟期(自分たちの形を作る頃)

事前準備3

「ふりかえり」は「いつ」やってもいいよね?

もちろんです。毎日やってもいいですし、毎時やってもいいです。この段階のチームの1つの姿として「チームにふりかえりが溶けている」というものがあります。日常的にふりかえりが会話の中で行われ、特定のふりかえりのための時間は作らない。そんなチームです。色々なチームの姿がありますので、自分のチームでも素敵な未来像を描きましょう。

未来を考えるふりかえり(むきなおり)は、どのくらいの頻度でやるものですか?

描き直すのは節目ごと、目安は3ヶ月から半年に一度です。ただし、見返すのは毎月。計画は描いた瞬間から現実とズレ始めるので、月に一度の見返しで小さく軌道修正し、大きくズレたら臨時で開きます。ズレは失敗ではありません。ズレに気づける仕組みを持っていることが、成功です。

うちには四半期のような明確な節目がありません。中長期のふりかえりはいつやればいいですか?

なければ、作ってしまいましょう。3ヶ月に一度、カレンダーに「チームの節目」として先に予定を入れるのです。節目とは、来るものではなく置くものです。メンバーの入れ替わりや大きなリリースが起きたときに、臨時で開くのももちろんありです。

ふりかえりの場を作る3

うちは今うまくいっています。関係の質のふりかえりは、問題が起きてからでよくないですか?

うまくいっている今こそ、いちばん効率よく貯金できるタイミングです。関係の質は、問題が起きてから慌てて高めようとしても間に合いません。普段から目標を開示し合い、感謝を伝え合っているチームは、厳しい局面で「言いにくいこと」を言える体力を持っています。それに、うまくいっている理由を関係の面から言葉にしておけば、メンバーが入れ替わったときの引き継ぎにもなります。

メンバーのありたい姿がバラバラで、1つにまとまりません。

まず、バラバラに描けたこと自体が成果です。全員が同じ未来を見ていると思い込んだまま進むより、はるかに健全です。無理に1つへ丸めず、共通する要素を探してください。表現が違っても「安心して挑戦できる」「ユーザーの反応が近い」のような共通の願いが、たいてい根っこにあります。それでも割れるなら、今日はチームとしてのテーマに絞り、個人のありたい姿は別の機会に扱いましょう。

「型どおりがいい」派と「もっと変えたい」派で、チームが割れます。

どちらも正しいので、ペースで折り合いましょう。おすすめは3回ルールです。変更は1箇所ずつ、そして新しい形は最低3回続けてから評価する。変えたい人には変更の機会が定期的に巡り、守りたい人には評価前に形が安定している時間が保証されます。どの1箇所を変えるかは、改善点の付箋の多数決で決めれば、個人の好みの争いになりません。

出来事を思い出す2

長期間のふりかえりをする際に、3ヶ月前のことなんて、誰も覚えていない気がします。

覚えていなくて大丈夫です。だからこそ、記録を集める事前準備があります。毎回のふりかえりの最後にボードの写真を撮っておけば、1枚から記憶は連鎖的に戻ります。もし記録がほとんどないなら、それ自体を今日の学びにして、次の期間は記録を残すことを最初のアクションにしましょう。カレンダーやチャットのログ、リリースノートも立派な記録です。

ありたい姿が「売上○%増」のようなKPIっぽい言葉ばかりになります。

数値目標が悪いのではなく、それだけだと心が動かないのが問題です。「その数字が達成された朝、オフィスで何が起きていますか」と、数値の向こうの景色を聞いてください。数値は途中のマイルストーンとして活躍してもらい、いちばん先に掲げるのは景色の言葉にする。この役割分担で、測れることと、やりたいと思えることの両方が手に入ります。

アイデアを出し合う1

障害のステップで意見が止まらなくなり、空気が暗くなりました。

障害が多く出るのは、チームが現実をよく見えている証拠です。ただし時間は10分で区切り、締めの一言を決めておきましょう。「これだけ見えていれば、もう不意打ちはありません」。障害の一覧は、恐れの一覧ではなく、準備の一覧です。それでも空気が重いなら、いちばん小さくて確実に踏み出せる一歩を短期の計画に選び、成功体験を早めに作ってください。

ふりかえりをカイゼンする3

自分たちで手法や型を作ってもいいの?

ぜひ作ってください。各手法の「どういった意図で作られているか」「なぜこの問いなのか」という本質が見えてきたら、手法をつなぎ、混ぜ合わせ、現場に適した形を生み出せる「離」の段階です。生み出したやり方は、Webサイトやカンファレンスでぜひ発信を。みんなで新しい型を作り上げていきましょう。

ふりかえりはいつまで続ければいいのでしょうか

終わりはありません。チームが続くかぎり続けるものだと思ってください。ただし、「ふりかえり会」という形は、いつか要らなくなるかもしれません。日々の会話の中で自然に立ち止まれるようになったチームは、わざわざ時間を取らなくても学び続けられます。そこまで来たら、形をゆるめるのは自然なことです。行為そのものをやめる必要はありません。

進め方をアレンジしたら、前より悪くなりました。失敗ですか?

成功です。「この差し替えは、うちには合わない」という知識がひとつ手に入りました。1箇所しか変えていないのだから、戻すのも1手です。戻したうえで、なぜ合わなかったと思うかを記録に残しておくと、次の差し替えの精度が上がります。実験が失敗を含むのは当然のことです。

ふりかえりの外で4

ふりかえりの効果を最大化するためには?

自分たちで毎回チームや状況に合わせてふりかえりを作り、自分たちでカイゼンする。その営み・文化が「楽しく」「前向きで」「真摯に」行われている。そんな状態を目指しましょう。ふりかえりの効果が最大化された状態は、究極的には「最高のチームになっていること」です。広く言われる「ふりかえりの手法」だけではこの状態には足りません。チームビルディング、プロダクトのグロース、組織への貢献、チームのモチベーション&エンゲージメントなど、様々な観点のワークを取り入れ、実践してみましょう。そのための自由な場が、ふりかえりなのです。

ふりかえりを組織へ広げていくには?

ふりかえりで得られた効果・変化を実体験をもとに伝えましょう。ふりかえりの現場に周囲の人たちを呼んで、様子を見せるのが効果的です。高密度にコミュニケーションが行われ、高速で意思決定がされ、カイゼンが常に行われる。そんな状態を周りに見せて、「自分もやってみたい」と思った人を巻き込んで始めましょう。

他のチームのふりかえりが知りたい

組織の中の別のチームにアプローチしたり、ブログを探したり、ふりかえりの各種イベントに参加しましょう。他のチームのふりかえりの事例はいくつか「ふりかえりam」でも紹介しています。びばのチーム「オキザリス」のやり方は、Miroボードで公開しています。どのチームも面白い取り組みをしていますよ。

会社の目標がすでに上から決まっています。未来を考えるふりかえり(むきなおり)をやる意味はありますか?

むしろ、そういうチームにこそ意味があります。上から降りてきた目標は「あるべき姿」です。やるのは、それを自分たちの「ありたい姿」に翻訳する作業です。「この目標が達成されたとき、私たちはどんなチームでありたいか」「どんなやり方で達成できたら誇らしいか」。同じ山頂でも、登らされる山と登りたい山では、足の運びがまるで違います。

進め方

事前準備7

いつ・どれくらいやるか決めたい

思い出しにどれくらい時間を確保すればいい?

「出来事を思い出す」はふりかえりの中で最も時間を使うステップです。1週間分なら1人8〜12分、2週間分なら15〜20分が目安。共有には1週間分で1人1分半〜2分、2週間分で3〜4分を見込みましょう。ひとりで考える時間と共有する時間を分けて確保するのがコツです。

長いふりかえりに休憩は必要?

90分以上やるなら、45〜60分に一度、5〜10分ずつ休憩を取りましょう。集中を保つために休憩はしっかり取るのがコツです。おやつと雑談を挟めばコミュニケーションの活性化にもつながります。

誰に参加してもらうか決めたい

人数が多いときはどう進めればいい?

10人を超えるなら6人以下のグループに分けましょう。途中でグループ分けして思い出し・アイデア出しをしてから全員でアクションを作る形と、最初からグループ別にふりかえって最後にアクションを見せ合う形があります。多人数の意見交換にはFishbowlも有効です。

全員揃わないときはスキップしてもいい?

できる限りスキップしないでください。1〜2人揃わなくてもやるべきです。一度スキップすると次回以降も連続してスキップされ、開催されなくなる結果に陥りがちです。時間をずらせば全員参加できるなら、まずその回の時間調整を。常態化するなら曜日・時間そのものを見直しましょう。

何を話すか・どの手法にするか決めたい

ふりかえりの構成はどこまで決めておけばいい?

慣れないうちは、目的・手法の組み合わせ・時間配分まで決めておくと当日迷いません。慣れてきたら時間配分は厳密でなくてOK。議論の状況に応じて柔軟に変えられる方が有意義になります。構成づくりには「ふりかえりを作る」が使えます。

テーマは毎回変えたほうがいい?

慣れていないうちは無理にテーマを設定しなくて大丈夫です。まずはふりかえりの目的と段階に沿って決めれば十分。慣れてきたら、その場でテーマを決めることに挑戦してみましょう。自分たちでチームを変えていける、という意識が育ちます。

道具やツールを用意したい

対面で、体を動かすふりかえりがしたいです

まずは全員が立って、歩き回りながらやるだけでも対面らしさが出ます。ホワイトボードを複数の壁に分けて貼り、テーマごとに移動しながら話す構成にすると、自然に体が動きます。チェックインでボールを回しながら一言ずつ話す、床にテープで線を引いて「今の気持ちはどのあたり?」と立ち位置で表現してもらう(Constellation)など、対面ならではのアクティビティもおすすめです。オンラインでは味わえない一体感が生まれますよ。

出典: ふりかえりのお道具箱 お悩み相談(2022-04-19)

ふりかえりの場を作る4

ふりかえりにはどこまで関係者を呼べばいい?

チームの活動に日常的に関わっている人たちを呼びましょう。スクラムならPO・スクラムマスター・開発者の全員です。意見が言いにくくならないなら、上司や有識者を呼ぶのもOK。外部の視点でのフィードバックや、その人を巻き込んだカイゼンにつながります。

90分は長すぎると言われました。

初回こそ長めをおすすめします。予定が固定化されたあとに時間を延ばすのは至難の業なので、最初に長く確保しておくのが定石です。どうしても難しければ60分に畳んでも構いません。ただし短縮すると、たいてい最後の点検から削られて、改善が回らなくなります。終わりの5分だけは死守してください。

毎週90分は、チームの合意が取れそうにありません。

慣れてきたら(3~4回目以降)は60分に畳む、というのを先に宣言しておくのが現実解です。ルール決めを読み上げ1分に、共有をひとり1周きっかりに。それでも回るようになります。ふりかえりが改善していけるのは、1回目に長く時間をかけて全体を体験できたからです。隔週90分より、毎週60分のほうが改善のサイクルは速く回ります。

意見が出ません。シーンとしてしまいます

「意見を言う」ハードルを下げる場作りが先です。DPAでルールを合意する、一言チェックインで全員が1回声を出す、書く時間と話す時間を分ける。発言の前に「全員が付箋に書く」を挟むだけで、驚くほど変わります。

出来事を思い出す10

出来事をすっと思い出せません

タイムラインで事実から思い出す、喜怒哀で感情から思い出す、の2方向があります。そして、全部思い出そうとしないこと。すっと出てこないことは重要でないのかもしれません。くだらないことでもどんどん書ける空気を作りましょう。

うまくいっていないことが、ふりかえりの場に出てきません

出てこない理由は「気づいていない」か「言えない」かのどちらかです。気づいていないなら、タイムラインなど事実ベースで出来事を並べる手法を使うと、埋もれていた違和感が見つかりやすくなります。言えないのだとしたら場の安全性の問題なので、DPAでルールを作り直したり、匿名で書ける形式にしたりと場作りから見直しましょう。信号機や温度計で「今の状態」を定期的に聞いておくと、兆候の段階で表に出やすくなります。

出典: ふりかえりのお道具箱 お悩み相談(2022-04-19)

話し合いの終盤で新しい意見が出てきて、時間が伸びてしまいます

まず、終盤に新しい意見が出るのは、対話でみんなの思考が深まった証拠です。「もっと早く言ってよ」ではなく歓迎しましょう。そのうえで、その場で全部を扱う必要はありません。ボードの隅に「次回持ち越し置き場(パーキングロット)」を作り、付箋にして置いておけば、時間を守りながら意見も失われません。次回のふりかえりの最初のネタにもなります。書き出しの時間を序盤にしっかりとるのも予防策になります。

出典: ふりかえりのお道具箱 お悩み相談(2022-04-19)

書く時間を取っても、1枚も書けない人がいます。

枚数ゼロを責めないでください。その人の中では、まだ言葉になっていないか、思い出せていないかのどちらかが起きています。個別に小さい問いを渡すか、「他の人の付箋を見て、思い出したことを書くのでもいいですよ」と、他人の付箋を呼び水に使う道を開きましょう。それでも書けなければ、その回はそれで構いません。書けなかった人が、観察していないわけではありません。

手を尽くしたのですが、付箋が出ないときは出ません。

そういう回はあります。無理に絞り出さないでください。いまの温度だけ確認して早めに切り上げる勇気も、進行の技術です。ただし、出なかったという事実は貴重なデータです。安心がなかったのか、思い出せなかったのか、テーマが違ったのか、形式が合わなかったのか。どれが濃そうだったかをメモして、次回の設計を変えてください。

チームの問題が個人のスキル不足に見えるときはどうすればいいですか?

そういった場面もあり得ます。ただし、それは全員のいる場で扱う議題ではありません。個人の育成は1on1やメンタリングの仕事です。ふりかえりで扱うのは「スキルが不足している人がいても事故をしない仕組み」のほうです。レビュー、ペア作業、チェックリスト。人を育てる話は個別の場で、仕組みを直す話をみんなの場で。この切り分けを覚えてください。

Δばかりで、+が全然出ません。

出す順番が原因です。「まず+から。ひとり1個お願いします」と先に良いほうを集めてから、Δへ移ってください。それでも出ないときは、あなたから出します。「今日、全員の付箋が時間内に出そろいました。先月はできていなかったことです」。運営の進歩は連続していて気づきにくいので、進行役が定点観測者として拾うのがいちばん確実です。

付箋に名前は書くべきですか?

理由がない限り、無記名をおすすめします。名前が見えると、声の大きい人や立場の強い人の付箋に流されやすくなるからです。無記名の付箋は、書いた瞬間からチームの共有物になります。

ふりかえりがあまり盛り上がりませんでした。

盛り上がりを測る物差しを、笑い声から付箋の枚数と実行率に持ち替えてください。静かでも、付箋が出て、アクションが決まり、それが翌週実行されたなら、そのふりかえりは機能しています。にぎやかさは、結果としてあとから付いてきます。どうしても場が固いなら、良いところを伸ばす手法を挟むのが特効薬です。

ふりかえりに定量データを使いたいのですが、どう扱えばいいですか

その場で数字を集めようとしないことが第一歩です。ふりかえりの時間に「先月のバグは何件でしたっけ」と探し始めると、それだけで20分が溶けます。ベロシティ、リードタイム、バグ件数、問い合わせ数など、見たい数字を先に決めて、日々の作業の中で自動的に貯まる仕組みを事前に用意しておきましょう。ふりかえりでは、貯まったものを眺めるところから始めます。扱い方にはコツが2つあります。ひとつは、事象で止めずに原因まで掘り下げること。「今週はバグが多かった」で終わると、次に出てくるのは「気をつける」だけです。なぜ多かったのかを一段掘って、初めてアクションになります。もうひとつは、人ではなく仕組みの話にすること。数字は個人の成績表ではありません。誰の担当だったかを追い始めた瞬間、次からその数字は正直でなくなります。

アイデアを出し合う11

問題解消のふりかえりが重くて疲れます

問題の解消は根気のいる活動なので、それ自体は自然なことです。毎回問題に向き合うのではなく、よいところを伸ばす回や、関係の質を高める回と組み合わせて、バランスよく行いましょう。よいところを伸ばし続けることで、消えたり見えなくなったりする問題もあります。

うまくいった部分がなかなか出てきません

問題の話に熱中しすぎて、ポジティブな面を見る前に表面的な感想だけになっているのかもしれません。手法や問いの種類、問いの順番を変えると変化が起きます。「うまくいった部分」と「うまくいかなかった部分」のどちらを先に話すか、状況を見て入れ替えてみましょう。

問題がまったく出てこないけど大丈夫?

問題がないのは本来すばらしいことです。まずは全員で祝って、うまくいっている部分を伸ばすことを検討しましょう。それでも違和感があるなら、チームの理想像を話し合ってみてください。理想と現状のギャップが、問題として浮かび上がることがあります。

個人ワークのあとの共有に、時間がかかりすぎてしまいます

全部の付箋を口頭で説明しようとすると、人数×枚数で時間が膨らみます。おすすめは、書いたら全員で黙読し、気になった付箋にだけ質問する方式です。説明は「聞かれたものだけ」にすると、共有の密度が一気に上がります。似た付箋を先にグルーピングして重複説明をなくす、1人あたりの持ち時間を最初に宣言する、という工夫も効きます。全部を等しく扱わず、対話したいものに時間を寄せましょう。

出典: ふりかえりのお道具箱 お悩み相談(2022-04-19)

沈黙が怖くて、つい自分が喋ってしまいます。

沈黙が怖いのは、それを「止まっている時間」だと解釈しているからです。実際には、考えている沈黙と、困っている沈黙があります。前者を埋めると、生まれかけていた意見が消えます。まずは「沈黙が起きたら、心の中で10数えてから口を開く」と決めてください。10数えて何も出ないときだけ、問いを言い換えるか、書く時間に切り替えます。

オウム返しって、わざとらしくなりませんか?

毎回全文を返すと、わざとらしくなります。原因は量と頻度です。キーワードだけを短く返し、ここぞの場面に絞ってください。ふだんは相づちで受け、要点がずれていそうなときだけ言い換えて確認する。技として見えないのが、うまい使い方です。

相づちのバリエーションが「なるほど」しかありません。

封印する必要はありません。相づちに一言足すだけで、受け止めの質は変わります。「なるほど、それは初耳です」「なるほど、そこ気になりますね」。どこに反応したかが伝わる相づちは、それ自体が受容になります。逆に、どの発言にも同じ強さで「いいですね」と返すと、全部が同じ音に聞こえます。強弱があるから、受け止めに意味が出ます。

問いを重ねると、詰めているみたいで気まずいです。

連続で問うと、尋問の圧が出ます。和らげ方は3つ。まず、問いの前に一度受け止める。「いいですね。で、具体的には」。次に、問いを本人でなく場に開く。「これ、誰がいつやるのがよさそうですかね」。最後に、ボードに書きながら問う。視線が人ではなくボードに向くので、詰めている感じがぐっと減ります。

問題が山積みなのに、ポジティブな話ばかりで大丈夫でしょうか。

大丈夫です。問題解決は根気のいる活動で、毎回それだけをやると場が疲弊します。良いところを伸ばす回を挟むことがバランスであり、伸ばした先で自然と解消される問題もあります。正面から掘り下げたい問題は、掘る用の手法を別の回に据えてじっくりやりましょう。

毎週問題を解決したいくらい問題が多いのですが、なぜなぜ分析のようなやり方を毎回続けるべきでしょうか。

おすすめしません。問題の掘削は消耗戦です。月に1回だけ掘る回にして、残りの週は基本の形や、良いところを伸ばす形にするのが長続きする配合です。それに、良いところを伸ばしていると、掘る前に消えている問題が意外とあるものです。

質問の輪で、前の人と同じ意見しか出てきません。

1周目はそれで正常です。むしろ「同じです」を禁止して、「同じ意見の、どこにいちばん共感したか」を言ってもらってください。同じ結論でも理由は人の数だけあり、その理由の違いこそが、2周目以降でまとめていくときの材料になります。

アクションを決める2

感想を言い合うだけの場になりがちです。もっとチームが成長するふりかえりにしたい

感想止まりのときは、「学びへの変換」と「アクション化」の2ステップが抜けていることが多いです。感想が出たら「そこから何がわかった?」と一段掘り、わかったことが出たら「じゃあ次は何を変えてみる?」とつなげます。問いを段階的に深めるだけで、同じメンバー・同じ出来事でも話の質が変わります。YWTのように、わかったこと・つぎやることが構造に組み込まれた手法に乗るのも近道です。

出典: ふりかえりのお道具箱 お悩み相談(2022-04-19)

繁忙期が3か月続きます。ずっと5分のふりかえりのままでいいのでしょうか。

5分の心拍だけは毎週守りつつ、月に一度だけ30分の枠を取ってください。中身はアクションの棚卸しと、運営の点検だけで十分です。縮小運転を走りきったチームは、明けた瞬間に元の時間へ戻れます。それに、繁忙期の5分で拾った困りごとの記録が、明けた後の最初のふりかえりの最高の材料になります。

ふりかえりをカイゼンする4

毎回KPTでマンネリ化しています

2〜4回に1度、新しい手法を試してみましょう。手法を変えるだけで同じチーム・同じ1週間からでも違う対話が生まれます。「マンネリを打破したい」目的でカタログを絞り込むと、遊び心のある手法が見つかります。

チェックリストで点検したらNGだらけで、チームが少しへこみました。

点検の目的を先に伝え損ねたことが原因です。次からはこう言ってから配りましょう。「これは成績表ではなく、次のテーマを探す地図です。できていない項目が多いほど、伸びしろの在庫が多いということなので、むしろ豊作です」。そのうえで、意図的にやっていないことが見つかったら、チームの流儀として言葉にして祝ってください。

毎週型を変えると、チームが混乱しませんか?

混乱の原因は、変わること自体ではなく、変わる理由が共有されていないことです。最初に「これからしばらく、毎週違うやり方を試します。合う合わないをみんなで見つける実験です」と宣言しておけば混乱しません。むしろ毎週変わることが楽しみになるチームが多いです。実験の枠組みを先に共有するのがコツです。

型どおりにやったのに、うまくいきませんでした。

1回でうまくいくやり方はありません。同じ形を2〜3回繰り返してから判断してください。それでもしっくりこなければ、それはチームとの相性の情報です。点検の記録を持って、別のやり方に移りましょう。基本をなぞる段階は、正解を当てる作業ではなく、比較の基準を身体に入れる作業です。

ふりかえりの外で2

時間が確保できません

まず、組織で許される最大の時間から始めるのが定石です(後から増やす交渉は難しい)。どうしても無理なら日々に分散を。「毎日5分」なら始められて、1週間で25分になります。

上司にふりかえりの成果を見せたいけれど、水を差されそうで怖いです

最後の15分だけ来てもらいましょう。付箋で埋まったボードごと見せれば、「これだけの分量を自分たちで学びに変えた」ことが視覚で伝わります。そして事前にお願いしておくこと。「メンバーが前向きになった状態を壊さないでください。褒めてください。感想は後で私が聞きます」。数時間の成果がアクション1個でも、本題はプロセスです。外の人にはそう見えないので、この予防線は失礼ではなく設計です。

ファシリテーション

ふりかえりの場を作る4

リーダーの私が進行すると、みんなが私の顔色を見てしまいます。

原因は、役職の力と進行の力が同じ人に重なっていることです。誘導するつもりがなくても、あなたの表情や相づちが「正解の合図」として読まれます。取り除き方は3つ。ひとつは、進行に入る前に「いまは進行役として聞いています」と立場を宣言すること。もうひとつは、進行そのものを持ち回りにして、力が1人に集まらない形にすることです。3つめは、意図的に隠れること。ボードの手前に立っていると、どうしても参加者はあなたの目を見てしまいます。みんなの後ろに回り込んで立ち、「ボードとチームのほうを向いて話してください」と促すだけで、視線の集まる先が変わります。すぐできる対策としては、あなたが最後に発言する順番を守るだけでも変わります。

正直、私が進行した方がうまいです。場の質が下がるのが怖い。

最初は確実に下がります。ただ、それは損失ではなく投資です。あなたの初回を思い出してください。いまその人より、うまかったでしょうか。下がった質は、毎回の短い点検が少しずつ回収してくれます。一時的な質の低下と、チームの天井があなたに固定され続けること。長期で高くつくのは、後者です。

輪番制にしたら、順番の人が進行表を読むだけの会になりました。

渡したものが進行表だったのが原因です。渡すべきは裁量です。テーマ選びや問い選びまで任せると、その人の色が出ます。もうひとつ、輪番の人をひとりにしないこと。残りの全員が支える前提を、最初のルール決めでチームとして合意しておくと、輪番は当番ではなく持ち回りの主役になります。

感謝で泣きそうになってしまいました。進行としてまずいですか。

まったくまずくありません。感謝が本気で交換される場は、思った以上に胸に来ます。無理に茶化したり、急いで次へ進めたりせず、数秒待ってから「いい時間ですね」とだけ言って進めば十分です。進行役が感情を消す必要はありません。場の感情は、チームの財産です。

出来事を思い出す2

ファシリテーター自身が意見を言いたくなったら、どうすればいい?

言ってはいけない、ということはありません。ただし立場の力が乗らないように、「いったんファシリテーターの帽子を脱いで、一参加者として話しますね」と宣言してから話しましょう。話し終えたら帽子をかぶり直します。また、自分の意見は最後に出す、付箋では他の人と同じ1枚として混ぜる、といった工夫で影響力を薄められます。毎回意見を言いたくなるなら、ファシリテーターを輪番にして役割を回すのもおすすめです。

出典: ふりかえりのお道具箱 お悩み相談(2022-04-19)

もやもやを言葉にできず、発言できないメンバーの意見を引き出したい

「きれいな言葉にしなくていい」とまず伝えましょう。「もやもやしている」とだけ付箋に書いてもらえば、それも立派な意見です。あとはみんなで「どのあたりがもやもやする?」「いつ感じた?」と言語化を手伝います。感情から入る手法(喜・怒・哀やハピネスレーダー)を使うと、言葉になる前の状態のまま場に出せるので、こうしたメンバーの入口になります。

出典: ふりかえりのお道具箱 お悩み相談(2022-04-19)

アイデアを出し合う3

意見を深堀りしようとすると、誘導しているみたいになってしまいます

誘導っぽくなるのは、こちらが答えの仮説を持ったまま「〜だからでは?」と閉じた問いをぶつけているときです。仮説は一度手放して、「そのとき何があったの?」「他には?」「もう少し聞かせて」といった開いた問いに変えましょう。相手の言葉をそのまま繰り返して待つだけでも、話は深まります。答えを引き出すのではなく、相手が自分で言葉にするのを手伝う、と考えると問いが変わります。

出典: ふりかえりのお道具箱 お悩み相談(2022-04-19)

司会進行は悪いことなんですか?

悪くありません。式典や報告会のように、決まった式次第どおりに流す場では、司会進行こそが正解です。ふりかえりで問題になるのは、対話と発見のための場に、流す進行のやり方を持ち込むことです。段取りを守る技術と、意見を引き出す技術は別のもの。いま自分がいる場はどちらなのかを先に決めて、進行のしかたを選び分けてください。

聴いてばかりだと、自分の意見が言えません。

両立できます。問題は、進行役と参加者の立場が混ざったまま話すことです。意見を言いたくなったら「ここからは一参加者として」と宣言してから話し、言い終えたら進行に戻る。宣言があるだけで、あなたの意見が正解として受け取られにくくなります。

ふりかえりをカイゼンする7

うちにはスクラムマスターがいます。ファシリテーターと何が違うんですか?

重なりの多い役割です。スクラムマスターはチームのプロセス全体に責任を持ち、ふりかえりの進行はその仕事の一部にあたります。ただし、毎回スクラムマスターが進行しなければならない決まりはありません。慣れてきたら進行を持ち回りにしてみるのもよいでしょう。スクラムマスターは、全員のファシリテーション力が育つのを支える側に回れます。

進行を渡そうとしたら「やりたくないです」と断られました。

役割の重さが原因のことがほとんどです。「進行役をやって」は重く、「ボードに書くのだけお願い」は軽い。動きに分解して、いちばん軽いものから出し直してみてください。それでも渋られたら、強制はせず素直に伝えましょう。「この場を、私の場ではなくチームみんなの場にしたいんです」。頼み方が業務の割り振りから協力のお願いに変わると、返事も変わります。

移譲しきったら、私の存在価値がなくなりませんか。

役割が変わるだけです。進行する人から、場を設計する人と育てる人へ。実行を見張るのではなく、実行される仕組みを作る側に立つのと同じ構図です。それに、移譲がどれだけ進んでも、あなたにしか点検できないものがひとつ残ります。進行役としてのあなた自身です。

ファシリテーターがずっと私のままです。これも変えていい?

むしろ、いちばん価値のある変更かもしれません。進行を持ち回りにすると、全員が進行する側の目を経験し、参加の質が上がります。最初は終わりの5分だけ、次は1つの手法だけ、と部分から渡すのがコツです。アジェンダが共有リンクとして残っていれば、誰が進行しても同じ形で回せます。

ペアふりかえりの相手が、社内に見つかりません。

相手の条件を、高く見積もりすぎているかもしれません。ふりかえりに詳しい人である必要も、同じチームの人である必要もありません。進行をやったことがある人、これからやってみたい人、隣のチームで似た悩みを持っていそうな人。この誰かひとりに声をかければ、それでペアふりかえりは成立します。誘い方は「ふりかえりのふりかえりを、月に1回30分だけ一緒にやりませんか」で十分です。相手に助言を求めるのではなく、お互いの場を話す相手になる、という誘い方にすると引き受けてもらいやすくなります。実際、聞いてもらうだけで整理がつくことのほうが多いです。それでも社内で見つからなければ、社外に出てください。コミュニティやイベントには、ふりかえりの話を聞きたい人が思っているよりたくさんいます。一度話してみると、次からは相手のほうから声がかかるようになります。

何回やっても、進行に自信がつきません。

それで正常です。自信は、技術より後から来ます。何百回と場を持った人でも、自分の進行を点検すれば、基本のできていない項目が必ず見つかります。自信がついたから場に立てるのではなく、場に立ち続けた結果、あるとき「まあ大丈夫か」と思えるようになる、という順番です。それに、自信のなさは進行にとって悪いものではありません。うまくやれているか気になるからこそ、場の様子をよく見ます。自信満々の進行役より、参加者の表情を気にしている進行役のほうが、たいてい場は良くなります。自信を待たずに、次のふりかえりをやってください。終わったら、良かったことを1行と、変えたいことを1行。これがいちばん小さくて、いちばん長く効く技術です。

チームに「私の進行、どうでしたか」と聞くのが怖いです。

怖くて当然です。評価を自分から取りに行く行為ですから。ただ、聞き方を変えるだけで、ずいぶん楽になります。「どうでしたか」は評価を求める問いなので、答えるほうも身構えます。「次はここを変えようと思っているのですが、どう思いますか」と、自分の改善案をひとつ添えて聞いてみてください。評価ではなく相談の形になり、お互いに言いやすくなります。もうひとつ。進行を始めるときに「うまく進められないかもしれないので、助けてください」と先に伝えておくと、あとから意見をもらうのがぐっと軽くなります。完璧な進行役として振る舞っていると、改善点を言うほうも気を遣います。そして、場のルールはあなたの振る舞いが実演します。自分への改善点を笑顔で受け取る姿は、「この場では改善点を口にしていい」という何よりの実演です。

ふりかえりの外で1

上司に「進行はリーダーの仕事でしょう」と言われました。

役割分担の話として反論すると平行線になります。育成の言葉に翻訳してください。「メンバーに小さな進行を経験させると、会議の進め方と人の観察を実地で学べます。リーダー候補の育成として、いちばん安上がりな研修なんです」。進行の経験が人を変えるのは事実なので、誇張ではありません。相手の関心事の言葉に置き換えて話すのが、組織で通すコツです。

アクション

ふりかえりの場を作る2

「できませんでした」の報告が続いて、空気が重いです。

2週続けて着手できていないなら、それは報告の問題ではなく、アクションの設計の問題です。責めずに作り直しましょう。「これ、半分のサイズにしませんか」「いっそ一度終わりにして、必要ならまた出しましょう」。やれない約束を場に残し続けることが、いちばん空気を重くします。

リーダーである私自身のアクションが、一番できていません。

正直に言えているなら、半分解決しています。冒頭の確認で、自分の未着手を自分から開示してください。「私のこれ、今回もできませんでした。大きすぎたので分割します」。場のルールは、あなたの振る舞いが実演します。自分に甘くて他人に厳しければ、仕組みは1週間で信用を失います。逆なら、1か月で文化になります。

アクションを決める11

問題を全部ふりかえりに持ち込んでしまいます

GTDのinboxの考え方が使えます。ぱっと片づくものはその場で解決、時間がかかるものだけふりかえりへ。モヤモヤを1スプリント抱え続けるのはパフォーマンスを下げます。ふりかえりは「カイゼンの唯一の場」ではなく「カイゼンを加速する場」です。

アクションは全部成功させないとダメ?

いいえ。アクションは「実行できる」ことが大事で、「成功する」ことはそれほど重要ではありません。最初から結果が見えているアクションは、根本の問題解決につながらないことが多いのです。どう解決したらいいかわからない問題に、少しずつ実験的にアプローチする意識を持ちましょう。

アクションが多すぎてどこから手をつければ?

毎回のアクションは最大でも3つに絞りましょう。10個も20個もあると実行しきれません。少しずつカイゼンして変化を確かめる方が、成長の実感がついてモチベーションも高まります。溜まった過去のアクションは、一度棚卸しを。

アクションをやっても変化を感じられません

アクションの結果を確認していますか?実行するだけでは、影響が1人の中で完結してしまいがちです。実行後にどんな変化が起きたかをチームで話し合いましょう。良い影響なら全体へ広げ、変化がなければ作り方を見直すきっかけに、悪い影響ならすぐ元に戻す。アクションも細かく確認してカイゼンしていきましょう。

根本原因がチームでは解決できない大きな問題のとき、放置されがちです

「チームでできる1%」と「組織に持ち上げる部分」に切り分けましょう。全部は解決できなくても、影響を小さくする工夫はチームでできることが多いです。組織に持ち上げる部分は、「誰が・いつ・誰に・何を伝えるか」まで決めて、それ自体をアクションにします。伝えたら、その結果もふりかえりで確認しましょう。それでも動かない問題は、いったん下ろしてよいのです。抱え続けるだけの問題は、チームの気力を削ります。

出典: ふりかえりのお道具箱 お悩み相談(2022-04-19)

ふりかえりのアクションは、タスクと何が違うのでしょうか

タスクは日常の仕事として管理するもの。ふりかえりのアクションは行動変容、つまり自分たちの行動を1%変える新しい挑戦です。挑戦には恐怖心もあるし、何を変えたら効いたのかは1個ずつ確かめないと分かりません。だから5個も10個も並べず、1個決めて一歩踏み出し、変化を確かめてから次へ。タスクリストに紛れ込ませず、挑戦として扱いましょう。

絞る以前に、アクション候補がそもそも出てきません。

原因は2つ考えられます。ひとつは材料切れ。思い出しと共有が薄いと、対策を考える燃料がありません。この場合はアクションの時間を削ってでも前に戻るほうが、結果的に早いです。もうひとつは、完璧な解決策を探している場合。「これで解決します」と言い切れる案しか出してはいけない空気があると、手が止まります。「解決しなくていいので、1%良くなりそうな実験を出してください」と、求める水準を下げてあげてください。

アクションが毎回「話し合う」「検討する」になります。

「話し合う」は、アクションの形をした先送りです。ただし全否定はしないでください。本当に話し合いが必要な議題もあります。見分ける問いはこうです。「その話し合い、いつ、誰と、何が決まったら終わりですか」。答えられれば、日程の入った立派なアクションです。答えられなければ、その場でもう1段具体にするか、候補から外します。

個人の改善アクションでもいいのでしょうか?

構いません。ただし、場で扱うのはチームに共有する価値のあるものにしましょう。「仕事を朝型に変える」だけならひとりのふりかえりで十分ですが、「私が仕事を朝型に変えるので、朝会を30分早めたい」ならチームの話です。個人のスキル課題そのものは、1on1の領分になります。

アクションが「意識しなくてもやっている」状態になったら?

それが完了の最良の形で、文化になったということです。ふりかえりで生まれた行動が、誰も意識しないチームの当たり前になる。この積み重ねこそが、ふりかえりの最終的な成果物です。棚卸しのときに「これ、もう普通にやってますね」と笑って完了に移す瞬間を、ぜひ味わってください。

中長期の目標が「いいチームになる」みたいに漠然としてしまいます。

中長期は方向性から始まって構いません。ただ、一歩だけ具体に寄せる問いを足しましょう。「それができているとき、いまと何が違って見えますか」。「障害対応のふりかえりが翌日に開かれている」のような風景まで言えれば十分です。中長期の目標は次の機会にも見直すので、今日完璧である必要はありません。

アクションを実行する5

決めたアクションが実行されません

原因の多くは「意識する」「頑張る」のような曖昧なアクションです。5W1Hで具体化し、最大3つ(慣れないうちは1つ)に絞りましょう。そして次のふりかえりで必ず結果を確認する。実行されなかったら「そもそも価値があったか」を問い直します。

毎週アクションを作っていたら、積み上がってしまい仕事が回りません。

原因は、足すだけで引いていないことです。新しいアクションを足す前に、前回のものを見てください。続けるか、完了にするか、やめるか。この3つに仕分けるだけで、抱える数は自然に落ち着きます。やれない約束を残し続けると、アクションそのものが形骸化します。

アクションの棚卸しはどのタイミングでやればいいですか?

毎週の冒頭で見るのは「直近のアクション」だけで十分です。月に一度程度、「溜まった全体」の整理と診断をしましょう。棚卸しを毎週やると、それだけで10分消えるうえ、分布がほとんど動かないので診断の意味が薄れます。毎週は1分、月に一度は10分。リズムを分けるのがちょうどよい塩梅です。

アクションの実施結果を棚卸したときに、アクションがほぼ全部「やられなかった」でした。

凹む必要はありません。全部が立ち消えたという事実は「アクションの立て方が自分たちに合っていなかった」という、極めて有益な診断結果です。多すぎたのか、大きすぎたのか、決めた直後に見えない場所へ行ってしまったのか。原因をひとつ選んで、次の期間は「アクションを1つに絞って、タスクボードの最上段に貼る」から再出発してください。

アクションが効いたかどうかを、どうやって測ればいいですか

アクションを決めた「その場で」、測り方まで一緒に決めておきましょう。あとから測ろうとすると、比べる相手(before)がもう手元にありません。決めることは2つです。このアクションの結果、何がどう変わってほしいのか。そして、それが変わったと言えるための目印は何か。目印は数字でなくても構いません。「レビューの待ち時間が半日以内になる」のような数字でもいいですし、「朝会で仕様の質問が出なくなる」「金曜の夕方に慌てなくなる」といった、観察できる出来事でも十分に使えます。むしろ現場では、こちらのほうが実感を持って判断できます。あわせて、いつ確認するかも決めておいてください。2週間後のふりかえりで見る、と決めておけば、そこで「効いた・効かなかった・まだ分からない」の3択で判定できます。効かなかったと分かるのは失敗ではなく、ひとつ確かめられたということです。

雰囲気

ふりかえりの場を作る14

目的と期待をそろえたい

場作りって、要するに心理的安全性のことですか?

重なりますが、同じではありません。心理的安全性は、対人リスクを取っても大丈夫だという、時間をかけて育つチームの状態です。場作りは、その日その場の準備であり、心理的安全性を育てるための水やりにあたります。冒頭の数分を毎回続けることが、数か月後の状態を作る。逆に、一度やっただけで安全性ができたとは言えません。焦らず、淡々と続けてください。

話せる空気をつくりたい

重苦しい反省会になってしまいます

問題の前に、まず良かったことから始めましょう。Good & Newや感謝で前向きスイッチを入れてから本題へ。そして「人」ではなく「プロセスやコミュニケーション」に目を向けます。誰が悪かったかを探す場ではありません。

失敗の話になると、メンバーが黙ってしまいます。

順番を工夫してください。共有を成功の話から始め、失敗の話は進行役であるあなた自身の失敗から出すのです。進行役が最初に自分のミスを笑いながら置くと、場の安全の基準線がそこに引かれます。それでも硬いようなら、初回は「実験してみたこと」だけに絞るのも手です。実験の失敗は、ミスよりずっと語りやすいからです。

Problemを話すと、謝罪や「自分が悪い」という方向になりがちです

冒頭に「今日は人ではなく、仕組みとプロセスの話をしよう」と宣言してしまいましょう。誰かが謝り始めたら「謝らなくて大丈夫。同じことが誰にでも起こらないようにするには、何を変えるといいかな?」と、主語を人から仕組みへ戻します。問いも「誰が」ではなく「何が起こったか」でそろえてください。責任追及の場ではなくカイゼンの場だと全員がわかると、Problemはむしろ安心して出せるようになります。

出典: ふりかえりのお道具箱 お悩み相談(2022-04-19)

犯人探しの空気になってしまいました。

「なぜ」が人に向いたサインです。一度手を止めて、人ではなく仕組みを掘る、というルールを確認し直してください。付箋の書き方を「◯◯さんが遅い」ではなく「◯◯の作業が遅れる」と、主語を出来事に書き換えるだけでも空気は変わります。それでも重いなら、その問題は無記名で扱うか、今日は閉じて良いところを伸ばす回を1回挟んでから出直すのが賢明です。

上司や声の大きい人が、他者を責める発言をしてしまいます。

真正面から制止すると角が立ちます。発言を尊重した形で、場面へ誘導してください。「いまの指摘の場面、何があったか順に見たいです」と時系列に逃がすと、人の話が出来事の話に変わります。予防としては、最初のルール決めを上司も含めて全員で合意しておくことです。合意があると、あとから止めるのが「あなたの意見」ではなく「みんなの約束」になります。

ふりかえりのあとにメンバーに個別に聞くと、「実は言えていなくて…」という本音が出てきます

場の外で本音が出るのは、責めるべきことではなく「場の心理的安全性がまだ育っていない」というサインです。まず、あとからでも話してくれたことを歓迎しましょう。その上で、場の中で全員の声を拾う仕掛けを足します。DPAで「ここで何を話してよいか」を合意する、匿名で書ける手法を挟む、退出時にHappiness Doorで書き残せるようにする。個別に聞いた声は、本人の了承を得て次回のテーマに載せると「言えば扱われる」という信頼が積み上がります。

プライベートの目標なんて書きたくない、という人がいます。

問題ありません。開示は招待であって、義務ではないからです。「何でも歓迎」と「何でも書け」は別物です。仕事の目標だけ書く自由が守られてこそ、安心して開示できる場になります。回を重ねて場が温まると、少しずつ私的な目標が混ざり始めます。それを待ちましょう。

チームにやる気のない人がいます。どうやってチームビルディングをしたらよいでしょうか

「やる気がない」と見える行動の裏には、たいてい理由があります(過去の徒労感、目的が腹落ちしていない、貢献が認められていない感覚など)。「やる気を出させる」働きかけの前に、その人が何を大事にしているかを知ることから始めましょう。ムービングモチベーターズで動機を共有する、Kudo Cardsで貢献に感謝が届く状態を作る、が定番です。チームビルディングは一発のイベントではなく、ふりかえりのたびに関係の質を少しずつ積む活動だと捉えると、焦らず取り組めます。

場を温めたい

毎回アイスブレイクを考えるのが大変です。

毎回ひとりで考えていることが負担の原因です。手法カタログの場作り系を眺めれば、数か月分の候補はすぐ集まります。そのうえで、考える仕事を独占しないこと。「次の場作り、誰かやってみない?」と手渡すのは、それ自体がファシリテーションです。持ち回りにすると、あなたの負担が減るだけでなく、場の色が毎回変わります。

場作りに10分も使ったら、本題の時間が足りなくなります。

足りなくなっているのは、たいてい時間ではなく発言です。場が温まらないまま本題に入ると、最初の10分が沈黙と様子見に消えます。一度、場作りをした回としない回で比べてみてください。10分使った回のほうが、残り時間の密度は高いはずです。それでも惜しいときは、ひとり10秒の一言まで圧縮する。ゼロにだけはしないでください。

うちの職場では、お菓子や音楽はちょっと難しいです。

無理に揃える必要はありません。物理的な場作りの本丸はレイアウトで、飲食や音楽は加点要素です。全員が同じボードを見られる向きに座ること、手を動かせる付箋とペンがあること。この2つが揃えば、場は十分に変わります。

感謝が全然出てきません。気恥ずかしいようです。

最初はそれが普通です。進行役が2つ3つ続けて出し、小さすぎる感謝で水準を下げてください。「会議室を取ってくれてありがとう」で十分です。それでも出なければ、口頭ではなく付箋に書いて貼る方式に変えると、照れの壁がぐっと下がります。感謝は筋肉と同じで、回を重ねるほど自然に出るようになります。

感謝がお世辞っぽくなって、薄い会になりそうで怖いです。

薄くなる原因は、感謝の抽象度です。「具体的なひとつの場面」を必ず添えるルールにしてください。場面が語られた感謝は、お世辞にはなりようがありません。それでも心配なら、出来事を時系列に並べたボードを見ながらやるのも手です。経路の上には、感謝の材料が具体的な事実として並んでいます。

出来事を思い出す3

ネガティブな発言ばかりの人がいます

その人を変えようとするより、場の設計で対応します。ポジティブな問いから始める手法を選ぶ、事実と感情を分けて書いてもらう、DPAで「建設的に話す」を全員で合意しておく。ネガティブな意見も、書き出せば立派なチームのデータです。

雑談や脱線は避けたほうがいい?

多少の雑談・脱線は許容しましょう。関係の質の向上につながります。脱線ばかりで進まないときは、ふりかえりのゴールを確認する、会話の内容を書き出す、の2つが有効です。話の内容を書き出し続けると、話している本人が「ずっと話し続けている」ことに自然と気づけます。

声の大きい人に意見が引きずられます

上下関係や契約関係があるとよく起こる問題です。付箋を使って全員の意見を同列にしましょう。ひとりひとり付箋に書いてから共有するだけで、意見の重みが平準化されます。話す順番を固定するラウンドロビンも有効です。

アイデアを出し合う3

ただの愚痴大会になってしまうのを避けたい

愚痴そのものは悪ではありません。感情を吐き出すことで楽になり、前に進めるようになる効果があります。問題なのは、吐き出しだけで時間が終わることです。おすすめは「吐き出す時間」と「前に進む時間」をはっきり分けること。象・死んだ魚・嘔吐のように、あえて吐き出す枠を最初に作る手法を使うと、そのあとの時間を建設的に使いやすくなります。吐き出しが終わったら「じゃあ、私たちにできることは?」と切り替えましょう。

出典: ふりかえりのお道具箱 お悩み相談(2022-04-19)

ふざけた意見ばかり出て、脱線します。

笑いが起きているなら、場は死んでいません。問題は、流れが戻らないときだけです。一度ちゃんと笑って受けてから、「それ、半分くらい本気のところありません?」と芯を拾ってください。冗談の皮の内側に本音が包まれていることは、本当に多い。付箋に書いてボードに載せてしまえば、冗談は議題に変わります。それでも続くなら、最初のルール決めで「笑いは歓迎、ただし付箋にしてから」を約束にしましょう。

「よいところなんてない」と言うメンバーがいます。

探す水準が高すぎることが原因です。大成功を探すのではなく、悪くなかったこと、いつも通りできたことから拾ってください。当たり前に回っていることは、当たり前に見えて、誰かの継続的な貢献で支えられています。それを言葉にするのが、この手法の仕事です。

ふりかえりをカイゼンする1

その場で感情が爆発してしまったら、どうすればいいですか?

技でさばける温度を超えたら、無理に進行を続けないでください。「一回、5分休憩しましょう」。休憩は敗北ではなく、立派な介入です。再開しても収まらないなら、その議題は全体の場から降ろし、「この件は別途、関係者で場を設けます」と宣言して先へ進む。感情のもつれの当事者同士の調整は、全員の前でやるほど拗れます。場を守ることと、問題から逃げないことは両立できます。

リモート

事前準備2

リモートのふりかえりに必要な道具・ツールはなんですか

リモートのふりかえりが難しくなる原因は4つあります。表情や間が読めない、「あれ」「これ」の指示語が使えない、付箋を1枚書くのに手間がかかる、画面が狭くて全体が見えない。これを埋めるために、顔が映せる音声通話ツールと、全員で同時に書ける共同編集ツールの2つを組み合わせるのが基本形です。共同編集のほうは、カーソルや編集中の場所が見えるものを選んでください。誰がどこを触っているかが分かるだけで、「あれ」「これ」の指示語が使えるようになります。具体的な製品は会社で使えるものの中から選べば十分で、MiroやMURALのようなオンラインホワイトボードがあれば理想的ですが、スプレッドシートやWikiでも成立します。準備でいちばん効くのは、ツール選びよりも当日のテンプレートを事前に作っておくことです。枠と説明が置いてある状態から始めれば、書き始めるまでの時間がゼロになります。あわせて、参加者が使う機器も確認しておきましょう。スマートフォンだけで参加する人がいると、付箋を書く操作がかなり厳しくなります。

ハイブリッドのふりかえりに必要な道具はなんですか

道具をそろえる前に、原則を1つ決めてください。全員がオンライン側に入る、です。会議室にいる人も、それぞれ自分の端末からボードに入って書きます。ホワイトボードに貼った付箋を画面越しに見せる形にすると、リモートの人はいつまでも読めず、書くこともできません。オンサイトの道具ではなく、リモートの道具にそろえるのがハイブリッドのコツです。そのうえで、会議室側に要るものが3つ。1人1台の端末、ハウリングを防ぐためのイヤホン(人数ぶん)、そして部屋全体を映すカメラです。カメラは発言者を追うものより、部屋を広く映せるものが向いています。誰がうなずいているかが見えるだけで、リモート側の話しやすさが変わります。進行役は、できればリモート側に立ちましょう。オンライン側の見え方が体感で分かるので、置いていかれている人に気づけます。

ふりかえりの場を作る2

リモートだと盛り上がりません

カメラON・ポインタ共有・対面の1.1〜1.5倍の時間確保、の3点をまず整えます。そして序盤は「ふりかえりのふりかえり」を厚めに。進め方自体を毎回すこしずつ改善していけば、リモートには「全員が同じ距離感で課題に向き合える」という対面にない強みが出てきます。

会議ツールで顔は映すべきでしょうか

映せるなら映すのがおすすめです。人は視覚から多くの情報を受け取っていて、うなずきや表情が見えるだけで発言のタイミングがつかみやすくなります。ただし押し付けないでください。背景に家庭が映る、体調や身支度の事情など、映したくない理由は人それぞれです。大事なのは「なぜ映すのか」という理由を共有したうえで、チームで決めること。アバターを使う、リアクションボタンやチャットで反応を返す、という代替でも効果はかなり近づきます。DPAで最初に話し合っておくと、あとから入ってきた人にも押し付けにならずに済みます。

アイデアを出し合う3

リモートだとなかなか反応がもらえません

反応は、返す手段を用意しておかないと出てきません。リアクションボタン、チャット、ホワイトボード上の付箋やドット投票など、声を出さずに返せる道を複数開いておきましょう。そのうえで、冒頭に全員が1回声を出す時間を作ります。一言チェックインで名前と一言をもらうだけで、そのあとの発言のハードルが大きく下がります。終わりぎわにはハピネスドアで一言残してもらうと、場では言えなかった反応も拾えます。反応がないのは無関心ではなく、返し方が分からないだけのことが多いです。

オンラインだと、視線や手元が観察できません。

カメラ越しの観察には限界があります。代わりに観察するのはボードです。付箋が増えているか、カーソルが動いているか、誰の付箋がまだ少ないか。考えている途中かどうかは、カーソルの動きで案外わかります。もうひとつは、観察を言葉で補うこと。「いま書いている途中の人いますか」「もう少し時間いりますか」と全体に軽く確認すれば足ります。個人を名指しで確認しないのがコツです。

リモートだと、書く時間に本当に書いているのか分かりません。

オンラインボードなら、付箋が増えていく様子がそのまま見えます。増えていない人がいても、画面の向こうで考えている最中かもしれません。全体に向けて「あと2分です。まだの人は1枚だけでも」と時間で区切り、個人を名指しで確認しないこと。書く時間の安心は、見張られていない感覚とセットです。

ひとりで

事前準備3

ひとりでやるふりかえりのおすすめはありますか?

軽く始めるなら、寝る前によかったことを3つ思い出すだけでも十分です。書く習慣があるなら、YWTを1日5〜15分で回すのが定番でおすすめ。面談やキャリアを考える目的なら、少し時間をとって学びと成長のふりかえりのように長めのスパンで自分を眺めてみましょう。TIPSにも「ひとりで」カテゴリのコツをまとめています。続けるコツは、完璧にやろうとしないことです。

出典: ふりかえりのお道具箱 お悩み相談(2022-04-19)

AIを使ってふりかえりを楽にできますか

楽になります。ただし任せる範囲に注意してください。AIに向いているのは、散らかったメモを並べ直す、思い出しの呼び水になる問いを投げる、書いたことに対して「それはなぜ?」と掘り下げる、といった補助です。何を学んだかを決めるのは自分の仕事なので、そこまで任せると、きれいだけれど自分のものではない結論が出てきます。このサイトはMCPでつなげば手法やTIPSをAIから直接引けますし、Skillを入れればふりかえりのコーチとして使えます。まず試すなら、AIと5分でYWTを体験できるページが手軽です。

AIを使ってふりかえりをしていても、対話型にならず、一人でやっているのと大差がありません。楽になりません

AIに「まとめて」と頼んでいませんか。まとめを頼むと、AIは要約を返して終わります。それは清書であって対話ではないので、一人で書いたときと大差がないのは当然です。頼み方を「質問して」に変えてください。「私にふりかえりの質問をしてください。1問ずつ出して、私が答えるまで次に進まないで。まとめや結論は、私が求めるまで書かないで」と最初に伝えるだけで、返ってくるものが変わります。効くのは、1問ずつ・答えを待たせる・結論を先に書かせない、の3つです。それでも浅いと感じるときは「なぜそう思ったのか、もう一段聞いてください」「私が使っていない言葉で言い換えてください」と足してください。対話の相手に求めるのは、答えではなく問いです。何を学んだかを決めるのは自分の仕事で、そこまで任せると、きれいだけれど自分のものではない結論が出てきます。毎回この頼み方を書くのが面倒になったら、Skillを入れてしまえば、最初から聞き役として振る舞ってくれます。

ふりかえりの場を作る1

自分のダメなところばかり目についてしまいます。

良いほうから先に書く、を機械的に守ってください。それでも出てこない日は、ハードルが高すぎます。「時間どおりに始められた」「ボードを準備しておいた」。その水準で構いません。チームの小さな良いところを拾ってきたように、自分の小さな良いところも拾ってあげてください。自分もまた、あなたが担当するメンバーのひとりです。

出来事を思い出す1

いつふりかえりをするのがおすすめですか

続けるコツはルーチン化なので、「毎日この時間」と決めてしまうのがいちばんです。寝る前の10分でも、出社して最初の10分でも構いません。目安は1日分なら5〜10分、1週間分なら10〜20分。加えて、研修や打ち合わせが終わった直後にその場でふりかえると、記憶が新しいぶん学びの密度が上がります。慣れてきたら期間を重ねてみてください。毎日・毎週・毎月・四半期と間隔を変えると、同じ出来事からでも見えるものが変わります。

アクションを決める1

ひとりで仕事をしています。チームがいません。

ひとりのふりかえりも、立派なふりかえりです。やったこと・わかったこと・つぎやること、の3つを1日の終わりに5分だけ書いてみてください。ノートでもメモアプリでも構いません。書くのが続かない日は、シャワーの5分で頭の中だけでも十分です。形式に正解はありません。

ふりかえりの外で1

業務日報と何が違うんですか

日報は「報告するための情報」、ふりかえりは「学びと次の行動」です。何をやったか、進捗はどうか、明日は何をするか。ここまでは日報にもう書いてあるはずです。足りないのは、そこから何がわかったかと、それを明日どう活かすかの2つ。この2行を足すだけで、日報はそのままふりかえりになります。実際、新人が1年間書く日報のフォーマットに、YWTの要素をこっそり組み込んでいる組織もあります。書く場所を増やすより、いま書いているものに乗せるほうがずっと続きます。

ここにない悩みは、お気軽にご相談ください。カタログやQ&Aにも追加していきます。

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