ふりかえり入門

ふりかえりは何分やればいいのか

2026-08-06

「ふりかえりって、何分くらいやればいいんですか」

ふりかえりを始めようとする人から、いちばんよく聞かれる質問です。会議室を予約するにも、チームに提案するにも、まず時間を決めないと動き出せません。

先に結論を書きます。1週間をふりかえるなら、慣れないうちは90分から120分です。「そんなに?」と思われたかもしれません。その感覚こそが、この記事でいちばんお伝えしたいことにつながります。

時間を決める2つの変数

必要な時間は、2つで決まります。人数対象期間です。

人数が多いほど、時間がかかります。意見を共有するのにも、アクションに合意するのにも、人数分の時間が必要だからです。3人のふりかえりと9人のふりかえりでは、同じ手法を使っても必要な時間はまったく違います。

対象期間が長いほど、時間がかかります。これは思い出しの負荷です。昨日のことなら数分で思い出せますが、1か月前のことを思い出すには、記録を見返したり、他の人の話を聞いて記憶を掘り起こしたりする時間が必要になります。

目安としては、5人から9人のチームが1週間をふりかえる場合、ふりかえりに慣れていないチームで70分から100分、慣れているチームで60分から90分です。この時間には、手法の説明をする時間も含まれます。

もっと長い期間を扱うなら、当然もっと必要です。プロジェクト全体をふりかえるような場なら3時間以上かかりますし、長期のふりかえりに「これからどうするか」を考えるむきなおりを続けるなら、120分から180分は見ておきたいところです。

短く始めてはいけない

ここからが本題です。

多くのチームが、こう考えます。「いきなり90分は取れないから、まず30分でやってみよう」。気持ちはよく分かります。新しい活動に長い時間を要求するのは気が引けますし、短いほうが合意も得やすい。

でも、この始め方はおすすめしません。一度短く設定した時間を、あとから伸ばすのはとても大変だからです。

30分で始めたふりかえりは、ほぼ確実に時間が足りません。思い出しの途中で打ち切り、アイデアを深める前にアクションを決め、ふりかえりのふりかえりは飛ばす。そうやって回していると、チームには「ふりかえりは慌ただしくて中途半端な時間だ」という体験が積み上がります。その状態で「もっと時間が必要なので90分にしたい」と提案しても、通りません。効果が見えていないものに、3倍の時間は出せないからです。

逆の順番なら、ずっと簡単です。90分で始めて、毎回時間が余るようなら「短くしませんか」と提案する。これは通ります。時間を削る合意は取りやすく、時間を増やす合意は取りにくい。この非対称性を、最初に味方につけてください。

そして90分取れば、たいていのチームは実際に90分使い切ります。時間に追われずに済むので、アクションまでしっかりたどり着けます。効果が出れば、その時間は守られるようになります。

時間が取れないなら、毎日10分から

とはいえ、「週に90分なんてどうやっても取れない」という現場もあります。仕事が佳境で、全員の予定を90分揃えること自体が無理、という状況です。

そのときは、毎日10分から15分に切り替えましょう。朝会や夕会の枠を使います。

これは前の節と矛盾していないつもりです。週90分と毎日10分は、時間を削った関係ではなく、別の型だからです。毎日のふりかえりは、扱う期間が1日なので、思い出しにほとんど時間がかかりません。昨日または今日のことを話すだけなら、10分で十分に成立します。90分の中身を30分に圧縮するのとは、まったく違う話です。

毎日やっていると、少しずつ変わってきます。ふりかえりに時間を使うこと自体への抵抗が薄れ、チームの状態が改善して時間の余裕が出てきて、「もう少し広い範囲で話したいね」という声が出てくる。そのタイミングで、週に一度の枠を提案してください。今度は通ります。

なお、毎日のふりかえりの中で中長期的な話ができるようになるチームもあります。そうなったなら、無理に週次を設ける必要はありません。

30分しかなくても、やる価値はある

ここまで「短く始めるな」と書いてきましたが、誤解のないように添えておきます。30分しか取れないなら、30分でやってください。やらないよりは、はるかにいい。

大事なのは、30分でやると決めたときに、その30分で何を捨てるかを先に決めておくことです。テーマを1つに絞る。思い出しの範囲を「今週いちばん印象に残った出来事だけ」に限定する。アクションは1つだけにする。何を捨てるかを決めずに30分に詰め込もうとすると、全部が中途半端になります。

避けたいのは「本当は90分必要なのに、なんとなく30分でやっている」という状態です。30分でやると決めたなら、30分用の設計をしましょう。

決めたら、固定する

最後にもう1つ。時間を決めたら、毎回同じ曜日・同じ時刻・同じ場所に固定してください

毎回スケジュールを調整していると、忙しい週から順に飛ばされていきます。そして、ふりかえりがいちばん必要なのは、たいてい忙しい週です。固定されていれば、そこは最初から埋まっている枠になり、飛ばすには誰かが積極的に「今週はやめよう」と言い出す必要が生まれます。この小さな摩擦が、ふりかえりを守ってくれます。

まとめ

  • 1週間のふりかえりは、慣れないうちは90分から120分
  • 必要な時間は人数対象期間で変わる
  • 短く始めると、あとから伸ばせない。長めに始めて、余ったら短くする
  • 週に90分が無理なら、毎日10分から15分という別の型に切り替える
  • 30分でやるなら、何を捨てるかを先に決める
  • 決めた時間は固定する

時間の総量が決まったら、次はその中をどう配分するかです。場作り・思い出し・アイデア出し・アクション決定・ふりかえりのふりかえりに何分ずつ割り当てるかは、ふりかえりの時間配分をどうすればいいか?で90分・60分・30分それぞれの具体例を紹介しています。

自分のチームに合わせて組み立てたいときは、ふりかえり作成で時間を入力すると、その時間に収まる手法の組み合わせと配分を提案します。

まだ一度もやったことがないなら、はじめてのふりかえり、のぞいてみよう:3人チームの30分を実例でで、30分の中身がどう進むのかを見てみてください。