ふりかえりの型と目的 〜8つの型を使い分ける〜
「ふりかえり」とひと口に言っても、その中身は1つではありません。レトロスペクティブ、ポストモーテム、リフレクション。呼び名によって、何をふりかえるか、その後どうするか、という性質が少しずつ違います。この様々な性質のうち1つだけに着目してふりかえりを続けるよりは、状況に応じて使い分けたほうが効果的です。
そこで登場するのが型という考え方です。型は、様々な性質を持つ手法をひとまとめにしただけでなく、一連の流れで行えるように手を加えたものです。ふりかえりは、大別すると8つの目的に分類でき、その目的の一つひとつが型になっています。まずは型のとおりに実践し、しっくりこない部分があれば次回に向けて変えていく。守破離の「守」から始めて、自分たちの形を作っていきましょう。
8つの型
1. 短期間をふりかえる
1〜2週間程度の短い期間をふりかえり、チームをよりよくしていくためのアクションを考える、すべての基本となる型です。出来事を思い出し、チームをよりよくするアイデアを検討し、アクションへと具体化して、最後にふりかえりそのものもカイゼンする。この一連の流れを繰り返すだけでも、チームは自然とよい方向へ進んでいけるようになります。
2. よいところを伸ばす
チームにとっての成功やうまくいった部分を自覚し、よいところを伸ばして成功を継続的なものにする型です。人は、成功を自覚して初めて「自分がどこまで出来るのか」という現在の活動限界を知ります。失敗ばかりに目を向けていると、地に足のつかない無茶なチャレンジをし続けてしまいがち。まずはうまくいったことに目を向け、そこを継続することを考えます。
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3. 問題を解消する
チームの問題や課題を解消するための型です。よいところを伸ばし続ければ消える問題もありますが、氷山のようにチームに立ちふさがる大きな問題も存在します。表面的な事象に対処するのではなく、「なぜ」を繰り返して真の要因までアプローチします。問題の解消は精神的にも肉体的にも根気のいる活動なので、別の型と合わせてバランスよく行うのがおすすめです。
4. 学びを最大化する
チームの成功や失敗を無駄にせず、学びへと昇華してチームを成長させる型です。複数人で仕事を進めていく以上、完璧な仕事はなかなかありません。失敗したときに必要なのは、個人への責任追及ではなく、失敗から得られた学びを最大化して、より大きな成功へつなげることです。成功や失敗など、目立った物事があったときに活躍します。
5. 関係の質を高める
チームのたいていの問題は、コミュニケーションの質が低く、コラボレーション(協業)が欠けているために起こります。コミュニケーションを活発化させる土台となる「関係の質」を高める型です。チームが結成されて間もないときや、チームのコミュニケーションに違和感を覚えたときに使うとよいでしょう。
6. 多角的に捉える
これまでの型の複合型です。一つの視点だけでなく、複数の視点から一つのものごとを見てみることで、より独創的でイノベーティブなアイデアが生まれることがあります。これまでの型に慣れてきたとき、マンネリを感じたときにやってみるとよいでしょう。
7. 長期間をふりかえる
1か月以上の長期間をふりかえり、中長期の目標を再設定する型です。短期的なふりかえりだけだと、チームはどうしても近視眼的になり、すぐに効果が出やすいアクションばかりを選びがちです。チームがこれまでどんな道のりを辿ってきたかを思い返しながら、今後どうしていくかを検討します。中長期のふりかえりを行っていないなら、定期的に取り入れるべき型です。
8. 未来を描く(むきなおり)
過去ではなく未来にフォーカスし、チームのあるべき姿を思い描いて将来のゴール像を作る型です。未来を描いておくと、毎週のふりかえりでも具体的な目標を設定しやすくなり、チームのモチベーションも高まります。数か月に一度、チーム全員で実施するとよいでしょう。
目的から型を選ぶ
8つの型は、それぞれが「目的」でもあります。「いまチームが話し合うべきことは何か」「チームがふりかえりで話したいことは何か」から目的を決めると、型も手法も自然に絞れてきます。
- 迷ったら「短期間をふりかえる」から。すべての基本です
- チームが結成されたばかりなら「関係の質を高める」
- 大きな失敗や成功があった直後は「学びを最大化する」
- ずっと同じやり方が続いているなら「多角的に捉える」や「よいところを伸ばす」で空気を変える
- 数か月に一度は「長期間をふりかえる」「未来を描く」で視野を広げる
ふりかえりを作るでは「今日の目的」を選ぶだけで、型に沿ったアジェンダが自動で組み上がります。手法カタログでは目的から手法を絞り込めます。ふりかえりの全体の流れはふりかえりの進め方 〜7つのステップ〜をどうぞ。
出典:ふりかえり読本 実践編 ~型からはじめるふりかえりの守破離~ 第1章・第2章