ふりかえりの進め方 〜7つのステップ〜
ふりかえりは「集まって話す」だけでも成立しますが、流れを知っていると、話し合いの質がぐっと上がります。ここでは、ふりかえりを7つのステップに分けて、それぞれで何をするのかを紹介します。手法カタログの「フェーズで絞る」は、この流れに対応しています。
1. ふりかえりの事前準備をする
事前準備はしっかりと。慣れていないときこそ、準備に時間をかけましょう。することは3つです。
道具や場所の準備
- オフラインなら:会議室・ホワイトボード・付箋・ペン・お菓子
- オンラインなら:TV会議ツールと、Miroなどのホワイトボードツール(URLを共有しておく)
目的・テーマ・構成の仮決め
- 「いまチームが話し合うべきことは何か」「チームがふりかえりで話したいことは何か」を考えて、進め方の仮案を作る
- あくまで仮決め。立てた計画を過信しない・従いすぎない。綿密に立てすぎず、変化を許容できる設計に
ファシリテーターの決定
- ふりかえりの主なファシリテーターを1名決めておく
- ただし、当日の進行を1人のファシリテーターに押し付けない
チームの構成に合わせて、どのような集まり方でふりかえりを開催するかの戦略もここで考えます。リモートで行う場合の進め方はリモートふりかえりのススメを参照してください。
2. ふりかえりの場を作る
ふりかえりの中心はココです。ふりかえりの「場」をみんなで作りあげましょう。
場を作る4つの要素
- ふりかえりへのJoin:ふりかえりに集中できる状態を作る(例:全員が一言ずつ発言する、付箋に書く、全員でルールを作る)
- 心理的安全性の確保:発言しやすい、発言してもいいんだと思える場を作る(例:グランドルールを伝える、感謝を伝え合う)
- 「対話」ができる状態を作りあげる(例:反対の意見を言いやすくする、「No, but」ではなく「Yes, and」で受け止める)
- 目的・テーマ・構成の合意:事前準備で仮決めした目的・テーマと進め方を、チーム全員で合意する
ふりかえりの中で作った「場」はチームの日常にも持ち越されます。逆に、チームで作った「場」はふりかえりにも持ち越されます。場づくりは、ふりかえりの時間だけの話ではありません。
3. 出来事を思い出す
いきなりKeep, Problemから始めていませんか。まずは出来事を思い出し、共有してから始めましょう。
一人で思い出す時間を作る
- 対象が1週間なら5〜8分、2週間なら10〜15分程度
- 思い出したものから順に挙げていけばOK。付箋で貼り出し、他の人の付箋を見て連想を広げる
- 事実・感情・主観・客観など、情報を分類しながら出すのもよい
共有する時間を作る
- チームみんなで共有しながら、さらに思い出しを深める
- 共有の際に「言葉」で出てきた情報を漏れなく可視化する。人は、付箋に書いてある情報以上のことを話します。そこが大事
4. アイデアを出し合う
どんなアイデアでも歓迎。たくさんアイデアを引き出しあいましょう。
アイデア出しの心得
- 「チームが次にすべきこと」「チームで取り組みたいこと」を軸にアイデアを出す。「自分がすべきだと思っていること」だとタスクベースになりがちなので、「チーム」にフォーカスする
- 「くだらない」「使えないかも」というアイデアも共有する時間を作る。アイデアにアイデアを重ねて、発散させたり具体化したりする
- アイデアのラベル付けには注意。「似ている」アイデアをグルーピングすると、抽象化されすぎて使いにくくなることがある。詳細が別々なら、別物としてしっかり扱う
5. アクションを決める
いくつもアクションは決めなくてOK。1つでよいので、具体的で実行可能なアクションをチームで決めましょう。
SMARTなアクションにする
SMARTに沿って作ると、実行されやすいアクションになります。
- Specific(具体的な)
- Measurable(計測可能な)
- Achievable(達成可能な)
- Relevant(問題に関連のある)
- Timely / Time-bounded(すぐにできる、期限のある)
たとえば「テストで品質問題が出たので、設計書とコードの再レビューを開発者と行う」というアクションは、まだ曖昧です。SMARTに沿って磨くと、「xx機能について、7/1 17:00-18:00に〇〇さんと△△さんを集めて設計書・コードの再レビューを行う。レビュー結果は録画して文字起こしし、参加しなかった人にも共有する。品質への疑義・改善点が出たらマネージャーに通達し、品質向上のための再計画を7/2じゅうに行う」のように、いつ・誰が・何を・どうするかまで具体になります。
チームのアクションを決める
- 決めるのは「チーム」のアクション。それぞれがアクション達成のために何をすればいいかを話し合う。個人のアクションは各自で実施すればOK
- アクションは「やってみないと効果がわからない」ものも多い。ふりかえりの場で小さく試して、その場で効果が出るようにカイゼンを加える
6. ふりかえりをカイゼンする
ふりかえりはやりっぱなしにしない。ふりかえりそのものも、ふりかえってカイゼンしましょう。
ふりかえりをふりかえる
- どのような目的で、どのような進め方をしたのかをふりかえる
- どのような話し合いが行われたのか、より効果的にするために次回どう行動すべきかを話し合う
- この結果は、次回のふりかえりで必ず活かす
ふりかえりの結果を残しておく
- 「作成したアクション」と「ふりかえりのカイゼン内容」は付箋や目に見える場所に書いて、必ず実行されるようにする
- 残した結果は、1〜3か月に一度見直す
7. アクションを実行する
アクションは作ったら即時実行。後回しにせずに、チームのパフォーマンス向上につなげましょう。
すぐに実行するための仕組みを作る
- ふりかえり後すぐにみんなで実行する
- スプリントバックログに入れる
- トリガーがあるものはタスク化して、カレンダーに入れる
アクションの結果をふりかえる
アクションは必ずしもいい結果を生むとは限りません。実行後には次のことを話し合いましょう。
- どんな変化が起こったのか/なぜ変化が起こったのか
- 想定していた結果とどう違うか/次はどんなアクションにするとよいか
つぎは:ふりかえりの「型」と「目的」
7つのステップという流れのほかに、ふりかえりには「型」と「目的」という考え方があります。型は、様々な手法を一連の流れとして組み上げたもの。目的は、その型を選ぶ手がかりです。8つの型のそれぞれと使い分けは、次のページで詳しく解説しています。
出典:ふりかえり読本 実践編 ~型からはじめるふりかえりの守破離~/ふりかえりナビ(2023年・初出のQiita記事)