「よい場」とは何だろう。33人が挙げた要素を並べてみる
2026-10-21 ・ 元記事: Qiita
場とは何か
ふりかえりの中でもっとも大事なものは何かと問われたら、私は「場作りである」と答えます。
では、場とは何か。場は、心理的なものと物理的なものの二つから形づくられる、目には見えないものだと考えています。1対1の関係から生まれる場、多人数の中で生まれる場、そして空間によって生み出される場。この場は生き物のように変動していきます。
よい方向に向かえば、発言がしやすくなり、よいアイデアが出やすくなり、ふりかえりのあとによい結果が残ります。悪い方向に向かえば、個人批判で空気が悪くなったり、誰も発言せず膠着したりして、時間を無為に過ごしてしまいます。
参加者もファシリテーターも、とりわけファシリテーターがこの場を意識しながら進めることで、参加者全員に有意義な学びとアクションが残ります。
33人に、よい場のイメージを挙げてもらった
ワークショップで、総勢33名の参加者に「よい場」のイメージを出してもらったことがあります。前提知識をお伝えせずに回答いただいた結果なので、共通認識としての「よい場」が見えたように思います。
出てきた意見は、おおよそ次のかたまりに分かれました。
空間:軽食やお菓子、コーヒーがある。広すぎず狭すぎない、みんなの声が聞こえるちょうどよい大きさ。開放感がある。温度・湿度が快適でまぶしくない。話している内容が常に見える。ノイズが少なく、外部の人に邪魔されない。
参加者:必要なメンバーがそろっている。信頼できるメンバーがいる。ファシリテーターがいる。人数が適切(5〜6人)。仕事が忙しすぎない、疲れていないときにやる。全員が準備をしてきている。顔が見える(PCを開いていない)。
目的と進行:目的が明確である。背景や前提が共有できている。場のゴールを全員が把握している。準備が完了している。タイムボックスが守られている。
雰囲気:笑いがある。ザワザワしている。ファシリテーターが止めるくらい参加者が議論する。リラックスしていて、緊張せず、せかされない。当事者意識があり、全員で作り上げようとしている。変えたい・変わりたい気持ちがある。前向きな発言が多い。ただし、ゆるすぎない。
終了後の状態:人の発言にハッとする。刺激を受ける。チームとして成長できる。次につながる。やる気が出ている。そして、ふりかえりが楽しみになる。
「心理的安全性」の中身は、これだけ多様だった
いちばん多くの意見が集まったのが、発言の場についてでした。心理的安全性という言葉で片づけられがちなところですが、挙げてもらった内容を並べると、その中にどれだけの要素が入っているかが見えてきます。
- 発言のしやすさ:何を発言しても大丈夫。遠慮なく出せる。気兼ねなく話せる。安心して本音を言える。普段思っている心の内が出てくる
- よくないことも言える:悪いことを指摘できる。課題を言っても嫌がられない。偉い人が邪魔をしない
- 受容:失敗を責めずに対応策を考える。思いつきでも怒られない。間違った意見を言っても責められない。馬鹿にされない。否定から入らない
- 多様性と尊重:年齢・役職に関係なく発言できる。誰が言ったかより何を言ったかを重視する。存在が認められている。互いを認め合う
- 譲り合い:1人が話しすぎない。誰か1人の演説にならない。参加者全員が発言できる
- プレッシャーがない:必ず有効なアウトプットを出す、と気負わない。実現性をあまり気にしない
- 傾聴:全員が話を聞いてくれる。賛成・反対にかかわらず、突飛な意見も、最後まで聞いてくれる。反応がある
- 発言の方向性:個人的に捉えない。人にではなく物事に対して意見を言う。活発だが発散しすぎない
- 議論の発展:別の人の意見や考えで刺激を受けて、アイデアが深くなっていく
非常に多種多様な意見が出ましたが、違和感のあるものはまったくありませんでした。心理的安全性と一言で言っても、これだけの要素が絡んでいるわけです。
傾聴と、攻撃されないこと
全体を眺めると、傾聴と攻撃されないというところに「よい場」を感じている人が多いように見受けられました。
この2つは、つながっています。互いを尊重し、傾聴できる場を最初に作ってしまえば、攻撃は起こらなくなります。逆に言えば、最初の場作りでこの雰囲気を参加者全員に伝えられるかどうかが、その日のふりかえりの質をおおむね決めてしまうということでもあります。
一覧を見ていると、道具や空間で用意できるものと、進め方で用意できるものと、参加者どうしの関係でしか生まれないものが混ざっていることに気づきます。お菓子を置くのはすぐできます。タイムボックスを守るのも、やろうと思えばできます。けれど「安心して本音が言える」は、置いておくことができません。
だからこそ、できるところから手を打っていくのだと思います。空間を整え、目的を共有し、最初に雰囲気を作る。そのうえで、傾聴が起きるように問いかけていく。
あなたのチームの「よい場」には、どの要素が足りていないでしょうか。この一覧を、チームで眺めてみるところから始めてみてもよいかもしれません。