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ふりかえりの守破離~型からはじめて、自分たちの形へ~

2026-09-23 ・ 元記事: ふりかえり読本 実践編

守破離とは

守破離は武道や茶道などで使われる考え方で、元は千利休の教えを和歌集にした「利休道歌」の一首「規矩(きく)作法 守り尽くして 破るとも 離るるとても 本を忘るな」から作られています。規範の教えを守り尽くし、教えを破り、離れたとしても、本質を見失うな、という意味です。裏を返せば、基本を会得しないまま基本を破ったり離れたりするとうまくいかない、ということも示しています。

この守破離は、武道や茶道だけでなく、仕事にも適用可能な考え方です。もちろん、ふりかえりにも。「型」を知り、実践から始めることで、あなたのふりかえりは着実に成長を遂げられるようになります。

ふりかえりの「守」:そのまま真似る

誰しも、ふりかえりを「知る」ことからスタートします。多くの人が最初に出会うのは、KPTでしょう。日本では「ふりかえり=KPT」と誤認されるくらい広く認知されていますが、それもそのはず、KPTにはふりかえりの基本的な進め方や考え方が凝縮されています。

ふりかえりの「守」とは、書籍やWebサイトに載っている手法を、そのままそっくり真似してみることです。いきなり現場に合わせて改変しようとせず、説明の通りに実践してみてください。

ここでひとつ注意があります。Webサイト上の情報のほとんどは、発信者の現場のコンテキスト(環境や背景)に合わせて、発信者も意図しないままにカスタマイズされた情報です。経験が浅い状態でそれを使おうとすると、コンテキストが違うがゆえに、全くしっくりこないふりかえりになってしまうことがよくあります。だからこそ、まずは体系立った「型」を、そのまま繰り返すことから始めるのがおすすめです。

ふりかえりの「破」:実験してパターンを見出す

特定の手法や型を何度も繰り返すと、意識せずに型どおりに実践できるようになります。すると、他の手法にも手を出してみようと考えるようになります。進め方の一部だけを変えてみたり、全てを取り換えてみたり。こうして実験を重ねるうちに、慣れ親しんだ型と新しい型の差分が見えてきます。これがふりかえりの「破」です。

これを繰り返すと、様々な手法や型に共通する考え方が「パターン」として自分の中に形成され、「この場合はこうすればうまくいきそうだ」という経験則が培われます。チームの現状に合わせて事前に何パターンかアジェンダを用意したり、想定外のことが起こってもその場で対処できるようになっていきます。

ふりかえりの「離」:本質を掴んで自在に

「破」の状態で実践を続け、ふと慣れ親しんだ手法に立ち戻ったとき、それまでとは違った見え方になるはずです。どういった意図でそのふりかえりが作られているのかという製作者の意図。なぜこの問いが設定されているのかというワークの設計の意味。これらを考えられるようになったとき、それぞれの手法の本質を崩さず、様々な手法を自分なりにつなぎ、混ぜ合わせ、現場に適したふりかえりを作成・選択できるようになります。これが「離」です。

ここまでくると、ふりかえり以外の知識をふりかえりに活かしたり、逆にふりかえりの知識を他へ活かしたり、という活動が日常的にできるようになります。「使い道がない」と思っていた手法にも作られた背景が想像できるようになり、エッセンスを抽出して自分たちの形へ変形できるようになる。そうして、ふりかえりの本質はとても単純で、それでもとても奥が深いという魅力に気づくはずです。

守破離を進めるために

守破離の段階を踏むために欠かせないのは、とにかくふりかえりの実践と、ふりかえりそのもののふりかえりです。

「守」の人は、ふりかえりの始め方とふりかえりを作るで基本の流れをそのまま試してみてください。「破」に入った人は、手法カタログで目的別に新しい手法と出会って、実験を重ねましょう。そして「離」に至った人は、ぜひあなたの生み出したやり方をWebサイトやカンファレンスで発信してください。みんなで新しい進め方や型を作り上げていきましょう。