ふりかえり入門

付箋の使い方で、ふりかえりの質は変わる。剥がし方・書き方・共有のしかた

2026-08-05

道具の扱いは、地味ですがよく効きます

ふりかえりでいちばんよく使う道具は付箋です。手法の選び方や問いの立て方に比べると、付箋の扱いは些細なことに見えます。

ただ、剥がした付箋が丸まってボードから落ちたり、書いた文字が細すぎて誰にも読まれなかったりすると、せっかく出た意見はそのまま消えてしまいます。手法をどれだけ工夫しても、そこで落ちてしまえば意味がありません。

ここでは、剥がし方・書き方・共有のしかたの3つを紹介します。どれも今日から変えられるものです。

1. 付箋は、めくり上げずに剥がす

付箋を下から剥がすとカールして剥がれやすく、横から剥がすと綺麗に貼れる

付箋を一番下からめくり上げるように剥がすと、紙が丸まります。カールした付箋をボードに貼っても、糊のついていない側が浮いてしまい、しばらくすると落ちます。紙を折り返す動きが、カールの原因です。

これを避ける剥がし方は2つあります。ひとつは横へ、水平にスライドさせるように剥がすやり方。もうひとつは下端をつまんで、そのまま下方向へ引き下ろすやり方です。どちらも紙を折り返さないので、真っすぐなまま剥がれます。

上の画像でNGにしているのは、下端をつまんで上へめくり上げる動作のことです。同じ「下から」でも、引き下ろすのであれば丸まりません。自分のやりやすいほうで大丈夫です。

ホワイトボードから人知れず落ちてしまった付箋は、たいてい誰にも拾われないまま終わります。床に落ちた1枚が、その日いちばん大事な意見だったということも起こりえます。ふりかえりの最後にボードの写真を撮る運用をしているなら、なおさら困ります。落とさない貼り方を、はじめから選んでおきましょう。

リモートのふりかえりが増えて忘れられがちですが、物理の付箋を使う場ではじわじわ効いてくる話です。

2. 太いペンで、1枚に1つだけ書く

細いペンで書きすぎるとNG、太いペンで1枚に1つだけ書くとOK

付箋に書くときのルールは2つです。太いペンを使うことと、1枚に1つの意見しか書かないこと

ボールペンやシャープペンで書いた文字は、ボードから1メートル離れると読めません。読めない意見は、その場に存在していないのと同じです。プロッキーやサインペンのような中字以上のペンを、人数分そろえておきましょう。ふりかえり道具は5点セットを常備するで常備しておくと、毎回そろえる手間もなくなります。

太いペンを使うと、自然と長い文が書けなくなります。これは制約ではなく、むしろ利点です。書ける文字数が限られるので、言いたいことを一言に削る必要が出てきます。その削る作業そのものが、自分の考えを整理することになります。

そして、1枚に1つ。3つの意見を1枚に詰め込むと、あとでグルーピングができなくなります。「この付箋は、Aの山にもBの山にも入る」という状態になってしまうからです。意見が3つあるなら、付箋も3枚に分けて書きます。

どうしても長くなるときは、それはたぶん意見ではなく説明です。付箋には結論だけ書いて、説明は貼るときに口で話しましょう。

3. 貼って終わりにせず、1枚ずつ声に出す

書いた付箋を全員が一斉にボードへ貼ると、何が起こるか。誰も他の人の付箋を読みません。自分の付箋を貼ることで手一杯だからです。

ここで使えるのがラウンドロビンです。時計回りに1人1枚ずつ、内容を声に出して宣言しながら貼っていきます。全員が一巡したら、また次の1枚へ。

この進め方には、いいところが3つあります。

  • 全員が必ず発言することになるので、声の大きい人だけの場になりません
  • 誰かが貼った内容を聞いて「私も同じことを思いました」と割り込み、近くに貼れます。共有とグルーピングが同時に進みます
  • 1枚ずつ出てくるので、他の人の意見をきっかけに、書いていなかった意見を思い出せます

ラウンドロビンは、それ単体で完結する手法ではありません。KPTでもYWTでも、付箋を貼ったあとの共有をラウンドロビンにする、という重ね方で使えます。

おわりに

剥がし方を変える。ペンを太いものに替える。共有を1枚ずつにする。どれも準備が要らず、次のふりかえりから試せることばかりです。

手法を変えるほどの手応えはないかもしれませんが、意見が落ちずに全部ボードに乗り、全員に読まれる状態になるだけで、ふりかえりの手応えはずいぶん変わります。

まずはペンを買い替えるところから、いかがでしょうか。