ふりかえり手法のおもちゃばこ(後編):ポジティブ星人・あたりまえ探し・チームの心得・ストレングス・トーク・露天風呂
2026-07-22 ・ 元記事: Qiita
この記事について
「ふりかえり手法のおもちゃばこ」は、Scrum Fest Osaka 2021で、Podcast相方のKANEさんと一緒に行ったワークショップです。当時生まれたばかりのふりかえり手法を、参加者のみなさんと一緒にその場で実践しながら紹介していきました。
この記事は後編です。まだの方は、感情から入る手法と問題整理の手法を紹介した前編からどうぞ。後編で紹介するのは、チームが元気になれる5つの手法です。手法の隅々までは解説しません。雰囲気をつかんで、「やってみたい」と思ったものをぜひチームで試してみてください。それぞれの詳しい進め方は、手法カタログの各ページからどうぞ。
ポジティブ星人
Emiさんが考案した、なりきり系の手法です。始める前に、まずはNorm Kerthの最優先指令を読んで、ふりかえりのトーンを整えます。「当時の状況の中で、みんなができる限り最高の仕事をしたはず」。この前提に立ってから、本番です。
「われわれはポジティブ星から来た、ポジティブ星人だ!ポジティブに考えることしかできないんだよね!え?最近失敗しちゃったって?最高じゃん!成功の種を握りしめているんだよ!」
……というポジティブ星人に、全員でなりきってロールプレイします。行ったこと・学んだことをみんなでお祝いして、ミスは「ミス」ではなく「成功の種」としてシェアする。ワークショップでは「緊張して早口になったけど、一回乗り越えられた。次は絶対大丈夫!」といった種が出てきました。最後は、成功の種をどう伸ばすかを話し合ってActionに落とし込みます。
書いてみると「これってなに?」というところから会話が始まるのもいいところです。
→ 手法の詳細: ポジティブ星人
あたりまえ探し
KANEさんと私で作った手法です。最初に必ずやってほしいことがあります。COWCOWの「あたりまえ体操」を見てください。3分くらいの動画です。
♪右足出して左足出すと、歩ける! めちゃくちゃ当たり前ですよね。そのレベルでいいので、チームであたりまえだと思うことを挙げていきます。ワークショップでは「オンラインで参加できる」「発表が聞ける」「コードを書いてレビューするとバグが出る」なんてものまで出ました。最後のは、あたりまえに見えて立派な学びですね。
チームにとっての当たり前を挙げると、自己認識につながります。「前はできていなかったけど、できるようになっているね」と気づければ、自己効力感・集団効力感が育ち、次のチャレンジにもつながります。3ヶ月に一度くらいやると、チームの自己認識がどんどん広がっていきます。「あたりまえ体操」を見ること自体が場作りになるのもポイントです。
→ 手法の詳細: あたりまえ探し
チームの心得
道場に貼ってある「ひとつ、●●すべし!」という行動規範、ありますよね。あれをチームで作る手法です。チームの心得、マインドセット、行動規範など、呼び方は何でもかまいません。チームアグリーメントに近いものと考えてもらえればOKです。
ワークショップでは「来年のカンファレンス参加者の心得」をみんなで作りました。「参加すべし!」「新しい場所に飛び込むべし」「会話すべし」……あたりまえ探しのあとにやると、前向きな心得がどんどん出てきます。
全部やるのは無理なので、5つくらいに選んで、日本語の書体フォントで掛け軸っぽく作ってみてください。見た目から入ると、チームの合言葉として愛着が湧きます。
→ 手法の詳細: チームの心得
ストレングス・トークによるふりかえり
ここで「チーム」から「自分」に視点を戻します。ふりかえりカンファレンス2021でかとうひろしさんが紹介した手法で、書籍『ストレングス・トーク』から着想を得て作られたものです。
まず、自分に起こった出来事・行動を思い出します。そのうえで行動を掘り下げるのですが、ここが独特です。「なぜ」ではなく、「どういう思考が浮かんだか」「どういう感情になったか」「身体の感覚がどう変化したか(ポカポカした、ひやっとした)」を考えます。身体の変化に向き合うふりかえりは、なかなかありません。
そして、その行動や変化が自分のどんな強みにつながっているのかを掘り下げ、①自分へのよい影響 ②周囲へのよい影響 ③隠れた願い・願望 ④ついやってしまうことの4つに分類します。ワークショップでは「発表を見て、身体と心がほんわかあったかくなった」という素敵な言葉も出てきました。
毎日書き溜めて変化を追っていくと、自分を客観的に見られるようになり、自分の思わぬ部分に気づけます。
→ 手法の詳細: ストレングス・トーク
露天風呂
ワークショップ当日は6月26日、「ろ・てん・ぶろ」で露天風呂の日でした。ということで生まれた手法です。手法って、これくらい簡単に作っていいんです。今回は語呂合わせです。
露天風呂といえば、心と身体が温まって、いい景色が見えますよね。だから、心が温まった出来事をいっぱい書き出して、それから「来年はどんな景色だろう?」と未来を想像して書いてみます。お風呂の絵に、みんなで付箋で入りましょう。
ワークショップでは「想像していた5倍の人がふりかえりに参加してくれて嬉しかった」「次はふりかえりトラックをやりたい。レトロスペクティブ祭りみたいな」と、温かい今と楽しみな未来がどちらも出てきました。
→ 手法の詳細: 露天風呂
後編のまとめ
後編の5つは、ポジティブ星人とあたりまえ探しでチームを元気にし、チームの心得で合言葉を作り、ストレングス・トークで自分と向き合い、露天風呂で未来をあたためる。チームと自分の両方に効く手法たちでした。
ちなみにワークショップの最後、前編と合わせた10個の手法を並べたホワイトボードを眺めて、「これ、カニに見えませんか?」という話になりました。開催地・金沢の名物です。カニは食べるのがちょっと面倒だけど、食べたらおいしさがあふれる。ふりかえりも同じで、導入は面倒に思えても、やり始めるとおいしさしかありません。
あなたのチームで試してみたい手法は、どれでしたか?