ふりかえり手法のおもちゃばこ(前編):信号機・お気持ちから始めるKPT・デイリーハッスル・気になること・クネビンフレームワーク
2026-07-20 ・ 元記事: Qiita
この記事について
「ふりかえり手法のおもちゃばこ」は、Scrum Fest Osaka 2021で、Podcast相方のKANEさんと一緒に行ったワークショップです。当時生まれたばかりのふりかえり手法を、参加者のみなさんと一緒にその場で実践しながら紹介していきました。
この記事では、そのなかから前編として5つの手法を紹介します。手法の隅々までは解説しません。雰囲気をつかんで、「やってみたい」と思ったものをぜひチームで試してみてください。それぞれの手法の詳しい進め方は、手法カタログの各ページからどうぞ。
信号機
今の気持ちを、青・黄・赤の3色で表す。それだけの手法です。簡単ですね。
シンプルですが、使いどころは奥深いです。おすすめはふりかえりの最初と最後の2回やること。「最初より赤が減ったね」「まだ黄色が残ってるけど、何かモヤモヤある?」と、ふりかえりそのものの効果や、消化しきれていない不満を可視化できます。
色を貼ったら、「なんでその色にしたの?」と理由を話し合ってみるのもいいですね。ワークショップでは私が「記事を書き続けて腱鞘炎気味なので、体は黄色かも」と言ったら笑いが起きました。そういう軽い開示が、場をあたためてくれます。
→ 手法の詳細: 信号機
お気持ちから始めるKPT
「今のお気持ちはどうですか?」
この、とてもオープンな問いから始めるのがこの手法です。どんな気持ちでもいいので付箋に書き出して、ポジティブなら上、ネガティブなら下、と付箋を上下に動かしてもらいます。
この手法のいいところは、問いの幅広さです。人によってまったく違う答えが出てくるので、意見に多様性が生まれます。そして不思議なことに、ネガティブな内容が出ても攻撃的なものはほとんど出てきません。「お気持ち」という言葉のやわらかさが効いているのだと思います。
出てきたお気持ちは、そのままKPTのKeepやProblemに持っていってもいいですし、他の手法の前のアイスブレイクとして使うのもおすすめです。
→ 手法の詳細: お気持ちから始めるKPT
デイリーハッスル
デイリーハッスル(Daily Hassles)は心理学の用語で、日常生活のなかで繰り返し経験されるちょっとしたストレスのことです。ハッスルダンスのハッスル(hustle)とはスペルが違うので気をつけてくださいね。
やることはシンプルで、日常のちょっとしたイライラ・モヤモヤを書き出して共有するだけ。「割り込みが多い」「ジメジメしてしんどい」、そんなことで構いません。
共有するだけでも効果があります。チームに関するイライラなら「じゃあ、やめましょう」と即改善につながりますし、そうでない話でも「わかる〜」と共感し合えるだけで、ストレスは少し軽くなります。
→ 手法の詳細: デイリーハッスル
気になることを追加するふりかえり
普段のふりかえり手法に「気になること」の観点を追加してみましょう、という手法です。問いを4つ、順番に重ねていきます。
- 今、気になっていることはなんですか?
- それを胸の中にしまっていたら、どうなりそうですか?
- それを誰かと共有していますか?
- どのような行動を起こしますか?
デイリーハッスルと違って、ネガティブなことだけでなくポジティブなことも出せます。「みんなこのワークを楽しんでいるかな?」も立派な「気になること」です。
この手法のいいところは、2つ目の問いによって「放置していたらよくないだろうな」という気持ちが自然と芽生えること。一歩を踏み出すための後押しをしてくれる問いの構造になっています。
→ 手法の詳細: 気になっていること
クネビンフレームワークを使ったふりかえり
最後は、問題の分類にとても使える手法です。出てきた問題を、クネビンフレームワークの5つの領域(明白・困難・複雑・混沌・無秩序)に分類して、どこから手をつけるかを話し合います。
おすすめの使い方は、ここまでの手法との組み合わせです。デイリーハッスルや「気になること」で出た付箋を、そのままクネビンフレームワークの上に持ってきて分類してみてください。ワークショップでも「分類すると会話しやすい」という声が上がっていました。
分類して終わりではなく、チームにとって一番クリティカルな問題はどれか、どの順番で取り組むかを話し合い、TryやActionにつなげるところまでがセットです。問題を一歩ずつ切り崩していけるようになります。
→ 手法の詳細: クネビンフレームワーク
前編のまとめ
前編の5つは「感情から入って、問題を整理する」流れで使える手法たちでした。信号機やお気持ちで場をあたため、デイリーハッスルと「気になること」で本音を出し、クネビンフレームワークで整理する。この流れをそのまま1回のふりかえりにしても成立します。
後編では、ポジティブ星人・ストレングス・トーク・あたりまえ探し・チームの心得・露天風呂という、元気になれる手法5つを紹介します。お楽しみに。
あなたのチームで試してみたい手法は、どれでしたか?