プロジェクト・プロダクトのふりかえりの進め方~240分の実例つき~
2026-09-28 ・ 元記事: ふりかえり読本 学び編
この記事について
「プロジェクト」「プロダクト」という大きな単位で仕事を区切ったときに行う、ふりかえりの進め方を紹介します。1ヶ月に1度や、3ヶ月・6ヶ月・12ヶ月といった長期間に一度、関わる人たちが集まって行うふりかえりです。プロジェクトという名前がついていない仕事でも、1つの業務案件を複数人で成し遂げたときにはぜひ活用してみてください。
なぜ区切りのふりかえりをするのか
プロジェクトの区切りでは、ときにチームが解散し、各々が次のステージへ移っていきます。そのときに、今回の経験で得た学びや気付きを次へ活かしたいと思うのは自然なことです。成功体験も失敗体験も、これまでの道のりを全員でふりかえり、学びを次のステージへ繋げて成長していく土台を作る。それがこのふりかえりの位置づけです。
チームが解散しない場合でも、一区切りのふりかえりには価値があります。短い期間のふりかえりを繰り返していると、カイゼンはどうしても近視眼的になりがちです。長い期間・高い視点で見ることで初めて見えてくるものがあります。自分たちがどう変化・成長したのかを知り、今後の方針を決めるよい機会になります。
実例:4ヶ月のプロジェクトを240分でふりかえる
ここからは、実際に行った事例を紹介します。前提はこちらです。入社1年目の新人4名による、4ヶ月間のシステム開発プロジェクトのふりかえり。プロジェクトは終了しており、チームは解散します。チームはプロジェクト中に毎週ふりかえりを行っており、進め方は理解しています。所要時間は最大4時間(240分)です。
目的は3つ。①学び・気付きと成長を確認・自覚し祝いあう、②現場で使いたいエッセンスを抽出しアクションで確実に成長へつなげる、③次に繋ぎたい想い・TIPS・カイゼン点をリストアップする、です。
道具は、付箋を小(75×50mm)1色・中(75×75mm)3色・大(75×100mm)4色、黒ペンを人数分、ホワイトボードマーカー、フリップチャートまたはどこでもシート、そしてお菓子と飲み物を用意しました。進め方はStory of Story・タイムライン・喜怒哀・対話による学びの抽出・ORID・SMARTな目標・アクションプランの作成・ポジティブふりかえりマッピングなどの要素を複合しています。
8つのステップ
1. ふりかえりの目的の共有(5分)。なんのために集まったのか、何を持ち帰ってもらいたいかを説明します。持ち帰るのは「アクションプランを立て、次のプロジェクトで実践できること」「コンテキストに合わせてアクションを変化させて適用できること」です。
2. グランドルールの説明(5分)。「この場の発言・内容は評価に一切関係しない」「個人への攻撃・批判はしない。ただしチームのためなら事実や思ったことを真摯に伝える」「どんなにくだらないことでも気兼ねなく発言し、その発言を妨害しない」「過去の失敗を恥じたり咎めたりせず、失敗できたことを嬉しく思い祝いあう」「未来の自分と未来のチームメンバーのために全力でふりかえる」。これらを貼り出し、全員で読み合わせて合意を取ります。
3. アイスブレイク(10分)。「このプロジェクトの経験のなかで、最高の瞬間はいつですか。それはなぜですか」という問いに、3分で考えて7分で共有します。最も大事な学びに繋がるイベントを思い出すきっかけになり、他の人との共通点が見つかると会話も弾みます。
4. 道のりをふりかえる(60分)。ホワイトボードに描いたタイムラインに、出来事と感情を貼り出します。色分けは、黄色(小)=起こったこと(事実)、黄色(中)=嬉しい・楽しい、青色(中)=悲しい・つらい、赤色(中)=危ないと感じたとき。最初の20〜30分はひたすら事実を貼り続け、落ち着いてきたら感情を事実の近くに貼っていきます。感情を引き出す問いは「そのときどう思いましたか」「なぜそう感じたのですか」「誰かへ感謝していることはありますか」など。思い出しに詰まったらPCで過去の情報を拾ってもOKですが、粒度が細かくなりすぎるので、慣れていない場合は避けましょう。
5. 学び・成長を確かめる(60分)。道のりから、気付き・学び・教訓を引き出します。黄色(大)=自分にとっての学び、赤色(大)=チームにとっての学び。最初の20分は各々が思い思いに貼り、その後全員で意見を交換しながら深めます。問いの例は「自分にどんな変化がありましたか」「他者・チームにどんな変化がありましたか」「チームメンバーの話を聞いて、あなたはどう思いましたか」。
6. アクションアイデアを考える(40分)。学びの中から次に活かしたいものをピックアップし、青色(大)の付箋でアイデアを出します。どんな突飛なものでも構いません。ポイントは、SMARTに書くこと、そして問題解決よりも「次に同じことをやるとしたら、よりうまくいく方法はなんだろうか」という視点で考えることです。
7. アクションプランを作る。活かしたいアクションをできるだけ具体的に書きます。多くても5個、優先順位をつけるのが制約です。「一歩踏み出すための直近のアクション」と「それを継続するためのアクション」をセットで設定します。たとえば、直近は「明日Xさんに質問して理解を共有し、認識齟齬を確かめてからタスクを進める」、短期は「同じ行動を来週2回以上とり、結果を全員に共有してフィードバックをもらう」、中長期は「1ヶ月続けて自分の変化をふりかえり、客観的なフィードバックをもらう」といった具合です。
8. Celebration。1人ずつアクションを共有します。議論やコメントは控え、共有に集中します。ひとりの共有が終わるたびに、その人のこれまでの成長と今後の成長を祝い、全員で拍手。全員分が終わったら、ふりかえりを終了します。設定したアクションは上司や同僚に連携して実施しやすい環境を整え、いつでも見える場所に貼って、できたら剥がしていきましょう。
ファシリテーションのポイント
長丁場になるので、適宜休憩を挟み、お菓子や飲み物で集中が切れないよう気を配りましょう。各ステップの時間はあくまで参考です。長期間の内省の場が時間で強制終了してしまうと参加者に不満が残るので、余裕時間を多めに見積もっておきます。
トップからボトムまで関係者全員が集まれれば、多角的な視野を全員が得られるまたとないチャンスです。ただし、批判・否定をしがちな人がいると忌憚のない意見が言いづらくなります。必ず導入で「批判・否定はしない」という考え方を説明して合意を取り、「この場での発言は評価に利用しない」と管理職から言質を取ることも重要です。
長期間のふりかえりのアジェンダ作りにはふりかえりを作るも活用できます。まずは一度、この事例をベースに、あなたの現場に合わせてアレンジしてみてください。