The Story of a Story(ざすとーりーおぶあすとーりー)
ひとつの対象(ユーザーストーリーや機能、チケットなど)を選び、それが着手から完了までにたどった道のりを追いかけて、プロセスをカイゼンする手法。チーム全体ではなく「もの」に焦点を当てるのが特徴です。
進め方
- 題材にする対象をひとつ選び、どんなものかを書いてキャンバスの左上に置く
- 着手から完了までに起こった主な出来事を、順に書き出す
- その中から、次も繰り返したいよかったことを書く
- 避けたいこと・気をつけたいこと・変えたほうがよいことを書く
- 全員で話し合い、アクションを書く
いいところ
- ひとつの対象に絞るので、抽象論にならず具体的な事実に向き合える
- なぜその結果になったのかを、経路をたどりながら確かめられる
手法のポイント
- 対象は「ストーリー」に限らない。プロジェクト・機能・不具合票・注文など、チームに合うものに置き換えてよい
- 大きすぎる対象を選ぶと経路を追いきれない。1回で追える大きさを選ぼう
テンプレートを使う
Miro・Figma・Google スライドなどに貼り付けて、そのままふりかえりを始められる枠です。 付箋は入っていないので、参加者が自由に貼れます。
詳しいやり方
ひとつの対象がたどった道のりを追いかけて、プロセスをカイゼンする手法です。ふりかえり手法の多くは「期間」や「チーム全体」を対象にしますが、この手法はひとつのものに起こったことだけを見ます。この構造の違いが、そのままこの手法の持ち味になっています。
原典ではユーザーストーリーが例に挙げられています。ただし名前にある2つめの「Story」は、チームの文脈に合うものに置き換えてかまいません。プロジェクト、機能、不具合票、問い合わせ、注文。「着手から完了まで」の経路をたどれるものなら、何でも題材になります。
まず、題材にする対象をひとつ選びます。実際にあった具体的なものを選び、どんなものだったかを短く書いて、キャンバスの左上に置きます。ここが物語の始まりです。
次に、その対象が着手から完了までにたどった主な出来事を書き出します。「誰から依頼が来たか」「どこで止まったか」「誰の手を経たか」「いつリリースされたか」。思い出せる範囲で、順に並べていきましょう。
出来事が並んだら、その中から次も繰り返したいよかったことを書き出します。続けて、避けたいこと・気をつけたいこと・変えたほうがよいことを書きます。ここまでが素材集めです。
最後に、全員で話し合ってアクションを決めます。目の前に経路が並んでいるので、「どこに手を入れれば次はうまく流れるか」を具体的に議論できます。
進め方のポイント
この手法の力は、具体的な事実に向き合わざるを得なくなるところにあります。「コミュニケーションが足りない」といった一般論ではなく、「あれは、ここで3日止まった」という事実から出発できます。だからこそ題材は、必ず実際にあったものから選んでください。
対象が大きすぎると経路を追いきれません。1回のふりかえりで最初から最後まで並べられる大きさを選ぶのがコツです。逆に小さすぎると学びが薄くなるので、「思ったより時間がかかったもの」「引っかかりのあったもの」を選ぶと話が転がりやすくなります。
リモートとも相性のよい手法です。オンラインホワイトボードに、左から右へ経路を並べるだけで成立します。
日本語で派生した手法との使い分け
この手法をもとに日本語圏で発展したのが、チームストーリー(過去)とチームストーリー(未来)です。道の上に付箋を並べるという形はそのまま受け継いでいます。違うのは、道の上を流れるものが何かです。
- The Story of a Story(この手法)… 流れるのはひとつのもの。ストーリー・機能・不具合票などが、着手から完了までにたどった経路を追います。見たいのはプロセスのどこで詰まったか。付箋は「次も繰り返したいこと」「避けたいこと」「アクション」の3種類です
- チームストーリー(過去) … 流れるのはチームの時間。ある期間に起こった出来事と、そこでのコミュニケーション・コラボレーションを重ねます。見たいのは関係の質
- チームストーリー(未来) … 流れるのはこれから進む道。ありたい姿・現在地・崖・脱出・加速装置をならべます。見たいのは向かう方向
迷ったら「ものの詰まりを直したいのか、チームの関わりを良くしたいのか」で選んでください。前者ならThe Story of a Story、後者ならチームストーリーです。時系列にデータを集めるという点ではタイムラインとも地続きです。
Miro版カタログでこの手法を使う →ふりかえりカタログのMiroボード(誰でも利用OK)が開きます
「やってみた!」は同じ手法に週1回まで。カタログの「みんながやってる手法」に反映されます
もっと詳しく(出典・参考書籍)
この手法を紹介するときは
ブログや資料で紹介するときは、こちらをコピーしてお使いください。利用について →
出典:ふりかえり実践会「The Story of a Story」https://hurikaeri.jp/catalog/story-of-story/(びば/森一樹) 原典:FunRetrospectives「The Story of a Story」(2012)
みんなの実践メモ
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