Start Stop Continue(すたーとすとっぷこんてぃにゅー)
Start, Stop, Continue
手法考案:Phil Daniels
「始めること・やめること・続けること」の3つで考える手法。世界で最もよく使われるふりかえり手法の1つです。
進め方
- Stop(やめること)を挙げる
- Start(始めること)を挙げる
- Continue(続けること)を挙げる
- 3つを見比べて、次にやるものを選ぶ
いいところ
- 3つの言葉だけで説明が終わるので、初めてのチームでもすぐ始められる
- 最初から行動の言葉で書くため、アクションに変換する手間がいらない
- 「やめること」を独立した枠として必ず問える
手法のポイント
- どこから始めるかは選べる。Stopからは決断に、Continueからは場作りに効く
- 「〜を意識する」ではなく、明日から観測できる行動の粒度で書く
- Stopが埋まらないときは、やめる対象を人ではなく仕組みや習慣に向ける
テンプレートを使う
Miro・Figma・Google スライドなどに貼り付けて、そのままふりかえりを始められる枠です。 付箋は入っていないので、参加者が自由に貼れます。
本文中の時間はサンプルです。人数や状況に合わせて調整してください。
詳しいやり方
ホワイトボードを3つに区切り、Stop・Start・Continue の枠を作ります。
- Stop(やめること)を挙げます。効果が無い、あるいは邪魔になっている行動です
- Start(始めること)を挙げます。まだやっていないけれど、やれば良くなりそうな行動です
- Continue(続けること)を挙げます。いまうまくいっていて、次の期間もそのまま続けたい行動です
- 3つを見比べて、次の期間に実際に手をつけるものを選びます
やめることを先に片付けると、空いた時間と手間を見たうえで「では何を始めるか」に進めます。Startが絵空事になりにくいので、この並びを基本にしています。源流のSKSも Stop → Keep → Start の順でした。
進め方のポイント
どこから始めるかは、チームの状態で選んでかまいません。入り口が変わると、場の空気と出てくる意見が変わります。
- Stopから……やめる決断に集中できます。もやもやが溜まっているチームは、先に吐き出せて楽になります。ただし否定の言葉から始まるので、関係ができていないチームだと場が固くなりがちです
- Startから……前向きなトーンのまま進められます。新しいことを試したい時期に向いています。ただし、いまの負荷を減らさないまま「やること」だけが増えることがあります
- Continueから……うまくいっていることを認めるところから入るので、場が固くなりにくくなります。初めてのチームや、空気が重いときに効きます。ただし褒め合いで終わって、StopとStartが薄くなることがあります
毎回同じ順番にこだわる必要はありません。前回Stopが出なかったなら次はContinueから、といった選び方で十分です。
この手法の特徴は、出来事を思い出す工程を挟まずに、いきなり行動の言葉で書くところにあります。KPTのProblemやStarfishのLess ofが「状態」を書く枠なのに対して、Start・Stop・Continueはどれも動詞で終わります。そのぶん速く、そのままアクションになります。
裏を返すと、なぜそうなったのかを掘る場所がありません。同じ問題が何度も出てくるようなら、いったん5つのなぜやTimelineで事実を並べる回を挟んでください。
書く粒度も大事です。「コミュニケーションを増やす」では次のふりかえりで達成できたか分かりません。「朝会のあと5分だけ雑談の時間を置く」のように、明日から観測できる行動まで下ろします。
Stopが埋まらないチームもよく見かけます。誰かのやり方を否定するように感じられるからです。やめる対象を人ではなく、仕組みや習慣に向けてみてください。「Aさんの長い報告」ではなく「報告のフォーマットが決まっていない朝会」です。
KPT・Starfishとの使い分け
いちばん近い親戚はSmall Starfishです。どちらも3枠で、行動の増減を扱います。違いは、Small Starfishが「増やす・減らす」という量の調整なのに対して、Start Stop Continueは「始める・やめる」というゼロイチの切り替えを問うところ。やめる決断を迫りたいときは、こちらのほうが強く出ます。
KPTと比べると、KPTのProblemが問題そのものを書く枠であるのに対し、Start Stop Continueは最初から解決後の行動を書きます。分析したいならKPT、決めたいならStart Stop Continueという選び方が分かりやすいでしょう。
5つの枠でもっと細かく分けたくなったらStarfishへ、というステップアップもおすすめです。
源流
考案者は、ブリガム・ヤング大学の心理学教授だったPhil Daniels。ハーバード・ビジネス・スクールのThomas J. DeLongが2011年にHarvard Business Reviewで書いた記事によると、DeLongが大学院生だった頃にDanielsから教わった「SKSフォーム」がそれで、ある役割について「何をやめるべきか(Stop)」「何を続けるべきか(Keep)」「何を始めるべきか(Start)」を他者に尋ねる、というものでした。記入は各項目3点までに限られていたそうです。
つまりもともとはふりかえりの手法ではなく、個人が他者からフィードバックを受け取るための道具でした。教師・友人・配偶者・親といった役割ごとに問う形で使われていたことが、そのまま書かれています。
これがアジャイルの世界に入ると、主語がチームになり、KeepがContinueに置き換わって Start / Stop / Continue の並びで定着しました。日付のはっきりした「初出」を特定するのは難しく、2008年にはすでにアジャイルのふりかえりの定番として個人ブログで紹介されています。Danielsが考案した時期そのものは記録が残っておらず、1970年代とする記述も見かけますが、一次資料は見つかりませんでした。この年表では、確実にたどれる最も古い記録としてDeLongの2011年の記事を採っています。
古い道具ですが、フィードバックの器として生まれた出自は、いまも効いています。チームのふりかえりだけでなく、1on1や個人のふりかえりでそのまま使えるのは、そのためです。
Miro版カタログでこの手法を使う →ふりかえりカタログのMiroボード(誰でも利用OK)が開きます
「やってみた!」は同じ手法に週1回まで。カタログの「みんながやってる手法」に反映されます
もっと詳しく(出典・参考書籍)
この手法を紹介するときは
ブログや資料で紹介するときは、こちらをコピーしてお使いください。利用について →
出典:ふりかえり実践会「Start Stop Continue」https://hurikaeri.jp/catalog/start-stop-continue/(びば/森一樹) 手法考案:Phil Daniels 原典:Three Questions for Effective Feedback(Harvard Business Review)(2011) 普及・波及:Stop / Keep / Start(SKS)→ アジャイルのふりかえりでは Start / Stop / Continue として定着
みんなの実践メモ
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